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SIMカード
概要
SIMカードは「Subscriber Identity Module Card」の略であり、携帯電話などの電話番号を特定するID番号や電話帳を記録している加入者管理用IC(Integrated Circuit、集積回路)カードである。通信の際にIMSI(International Mobile Subscriber Identity)と呼ばれる固有のID番号をやりとりすることで、利用者の区別・管理を行っている。
国際標準化機構、国際電気標準会議が制定した国際規格、ISO/IEC7810のうちID-000を採用し、大きさは25ミリ×15ミリとなっている(PHSであるウィルコムを除く)。SIMカードは取り外しの際に必ず電源がオフである必要があるため、間違いを防ぐために電池の裏に設置されている場合が多い。
歴史
SIMカードは、1993年ごろから欧米など海外を中心に普及していた第2世代の携帯電話規格GSM(Global System for Mobile Communication)で利用されていた。ところが当時、日本では、独自規格のPDC(Personal Digital Cellular)が第2世代として普及を進めており、SIMカードが使われることはほとんどなかった。
その後、携帯電話が2000年台前半に第2世代から第3世代に移行した際、日本においても海外と同じGSMの後継W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)規格を採用したため、電話番号の識別にも第2世代使われていたSIMカードの上位互換であるUIM(User Identity Module)カードを利用するようになった。UIMカードも、広くはSIMカードの一種であり、そのためSIMカードという呼称が一般的になっている。製品の名称は通信会社によって異なる。
図、通信会社ごとのSIMカードの呼称 |
SIMロック
携帯電話を、特定のSIMカードでしか使えないようにすることをSIMロックという。日本の携帯電話は2011年3月現在、ほぼすべての機種にSIMロックがかかっている。
日本の携帯電話はキャリア主導の「垂直統合型の開発」と言われる。キャリアが携帯電話を企画し、メーカーに発注。キャリアはそれを買い上げて、販売店に販売奨励金を出すことで、店頭では格安で並べるようにする。販売店に払った多額の販売奨励金は、通話料で回収する。ところが海外のように特定のSIMでなくても利用ができる携帯電話端末ばかりだと、携帯電話を自由に変えられてしまう。それでは多額の販売奨励金が回収できないため、携帯電話を購入する際あらかじめ決まったSIMでのみ利用できるようにロックが掛けられるようになった。2006年8月にはSIMロックを解除した不正改造端末の販売業者が逮捕されている。
このモデルは日本において、携帯電話やそれに付随する機能の爆発的な普及に大きく貢献した。反面、メーカーが違ってもデザインや機能が似たものばかりがそろってしまうという「ガラパゴス化」の要因にもなっている。総務省は国際的な情勢を鑑みて、各キャリアに解除をするように要請した。NTTドコモは2011年4月以降に出荷する携帯電話にSIMロックを解除できる機能を盛り込むと発表している。
「SIMカード」が出てきた記事
個人情報保護法(2011/2/28)
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