特集などに出てきた重要語句を分かりやすく解説
個人情報保護法
概要
個人情報保護法(正式名称:個人情報の保護に関する法律)は2005年4月1日、全面施行された。「個人の権利利益」の保護を掲げ、個人情報の不正流用を防ぎ、企業等がずさんなデータ管理をしないようにするのが目的。
同法では個人情報を「生存する個人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等によって特定の個人を識別できるもの」と定義。例えば、住民基本台帳で閲覧できる「氏名・生年月日・性別・住所」の4情報は個人情報に当たる。
電話番号や勤務先、収入、家族構成、学歴、血液型、身体特徴、学籍番号など単独では個人を特定できなくても、他の情報と照合し個人を特定できる場合は個人情報となる。
また、整備された個人情報のデータ5000件以上を保有する企業は「個人情報取扱事業者」となり、様々な義務が課せられる。これには顧客データだけでなく従業員のデータも含まれる。一方、保有データが5000件以下の企業、マスコミ、大学、宗教団体、政治団体等は対象外。
図、個人情報取扱事業者の義務 |
個人情報取扱事業者には(図)のような義務があり、違反した場合は、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される。刑事処分以外にも情報漏洩の内容や程度によっては、民事訴訟や損害賠償等のリスクが発生し、企業が風評被害等を受けることも考えられる。
成立の背景と問題
国内外の意識の高まりを受け1988年、国の行政機関のPC内の個人情報を保護する「行政機関保有電子計算機処理個人情報保護法」が施行された。しかし、同法には罰則規定がなかった。また民間事業者への法規制はなく、自主的な取り組みを期待するにとどまっていた。その後、住基ネット整備や個人情報漏洩事件の多発を受け、2003年5月に現在の法律が成立。施行には2年の周知期間が置かれた。
施行後、企業等での情報管理体制が徐々に整い始めた。一方で「連絡網が作成されなくなる」等の過剰反応がみられ、中には「国勢調査を拒否できる」といった誤解が広まるといった問題も生じている。また、2010年に社会問題化した高齢者の所在不明問題では、同法が所在確認の障害になったという指摘が相次いだ。
近年の動向等
2010年8月から、消費者行政の諸問題について調査し総理大臣等に建議する内閣府消費者委員会の専門調査会で、個人情報保護法の改正も視野に入れた同法施行状況の評価と問題点の洗い出し作業がスタート。2011年2月現在も企業等にヒアリングを行うなどしながら審議が続いている。
このほか、政府が導入の検討を進める「国民ID制度」「社会保障と税に関する番号制度」に関する議論の中でも、個人情報の適切な保護・管理の問題が改めて浮上している。
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