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美馬秀樹 東京大学大学院工学系研究科 特任准教授 に聞く「新たな検索システム『MIMAサーチ』とは」

東京大学大学院工学系研究科特任准教授
美馬 秀樹
「新たな検索システム『MIMAサーチ』とは」

 最新の研究成果をリアルタイムに反映し、教育の現場で活用する。「クラウドテキストブック」は、「教科書」本来の役割を取り戻す可能性を秘めたシステムだ。しかしMIMAサーチのアプローチはこれだけではない。  哲学、歴史学などの研究成果を発信してきた岩波書店の月刊誌『思想』。1921(大正10)年から、現在も発行が続いている同誌をデータベース化し、MIMAサーチを使用して体系化する「岩波『思想』の構造化」プロジェクトも同時に進められている。

岩波『思想』の構造化プロジェクトの着地点は「過去に起きたことや議論されたことを参考にして、未来予測をすること」
岩波『思想』の構造化プロジェクトの着地点は「過去に起きたことや議論されたことを参考にして、未来予測をすること」

―分野を超えるという目的で取り組まれているクラウドテキストブックですが、『思想』のプロジェクトはどういった目的で研究が始まったのでしょう?

美馬氏 MIMAサーチの役割は、教育であれば分野を超えた知識が「わかる」、企業であれば組織や部署を超えてどういった知識やノウハウが存在するかを「わかる」ことと言えますが、『思想』プロジェクトでは、言わば「時勢」を超えた知識が「わかる」ことを目指しています。 『思想』には、過去にあった哲学的、純文学的思考の過程が蓄積されています。これを単なる過去のものと見るのではなく、今の状況とどう関連するかを適切に捉えることが重要です。昨今の経済危機にしても、状況や原因の抽出を、時代を越えて行うことで過去の事象との類似性を見つけられる可能性はあると思います。「歴史は繰り返される」というわけではありませんが、現在の状況と過去の出来事や思想との類似性を計算することで、次はこうなるだろうという未来予測を行うことも、知識を構造化し、知の再利用性を向上するという観点でも、今後非常に重要になってくると考えています。

ITの活用を訴える美馬氏
ITの活用を訴える美馬氏

今後の展望

―今後の美馬先生自身の研究の方向性、MIMAサーチの活用について教えて下さい。

美馬氏 MIMAサーチのテクノロジーをいかに高度化していくか、という観点では、コンピュータで自然言語の“意味”をどうやって抽出し、類似性や関連性を計算するか、というのが今後の研究でもより重要になってくると思います。人工知能の実現であるとか、人の話していることが理解できるコンピュータの実現というのが、私自身の生涯の研究対象としてやはり望んでいるところです。意味理解研究の成果がWEBや教育で活用できるようになって初めて、真の意味での分野・組織・時勢を越えて知識を活用することができるようになると思っています。ただ、これらがそう簡単にはいかないことも、これまでの研究でわかってきました。

 現在の技術を活かして社会に還元する、という意味では、個々の文書の管理やセキュリティ、米国で発信されて最近日本でも注目されているe-discovery(電子情報開示)対応など、企業活動のインテリジェンス化、安全安心化、効率化に活用されればと考えています。効率化というと、「ITで本当に業務の効率化ができるのか」という話は常に出てきますが、少なくとも現時点の技術が十分理解され、活用されている状況であれば、MIMAサーチのようなシステムが企業の意志決定にはなくてはならない存在になるはずです。
 教育も同じで、日本でのeラーニングに対する理解は、少なくとも米国を始めとする先進諸国に比べて低いのが現状です。例えば、米国ではeラーニングの技術が当然のようにどこでも活用されている、という状況ですが、日本では未だに「eラーニングが有用かどうか」という議論をしているレベルですからその差は歴然です。触れることのできる知識が膨大になっている今、まずは「他を知る」ことが重要なのではと思っています。その上で、人の認知能力のサポートツールとしてMIMAサーチが活用されるようになれば幸いです。


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※このインタビューとセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



注釈

*1:自然言語処理技術
人間が使っている言葉(自然言語)を、PCに処理させる技術のこと。

*2:クラスタ分析
データの集まりを、複数のグループに分けるデータ分析や、分類の手法のこと。



【美馬 秀樹(みま ひでき)氏 プロフィール】

【現職】
東京大学大学院工学系研究科 特任准教授
工学博士

【略歴】
徳島大学工学部卒業、徳島大学工学研究科システム工学専攻博士課程修了。
株式会社ジャストシステム研究員、ATR 音声翻訳通信研究所 研究員、英国マンチェスターメトロポリタン大学講師(Lecturer)、東京大学大学院理学系研究科 日本学術振興会未来開拓プロジェクト研究員、科学技術振興事業団 CREST プロジェクト研究員、東京大学大学院工学系研究科 助手を経て2005年から現職。

【業界関連】
1984年 電波新聞社BASICマガジン/ソード株式会社主催プログラミングコンテスト・ベストプログラマー賞
2003年度情報処理推進機構(IPA)未踏ソフトウェアプロジェクト 天才プログラマ/スーパークリエータ認定
2004年 The international Daiwa Adrian prize, a triennial award for excellence in
scientific collaboration between the UK and Japan, 共同受賞。


(掲載日:2009年4月30日)

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