インタビュー(3)
つくば市長・市原健一氏に聞く
「当たり前」のICT利用 教育現場が育てた40年
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震災で、ICT利用のトレーニングを再認識
市原氏:東日本大震災の時に、被災地の子どもたちが学校に行けない、という状況がありました。その時にインテルと話をして、「つくば市の家庭学習システムを被災地に持っていこう」ということでシステムを導入しました。
しかし、残念ながらシステムを使いこなせる先生方が少なく、結局支援は役に立ちませんでした。やはりシステムと機材をいきなり持っていっても使えません。システムを使うためには、先生方のトレーニングが必要であることを再認識しました。
やはり、行政・教育委員会・学校の先生、そして子どもたちが一体となって調整していかないと、ICTは役に立ちません。その地域ごとに、ICTに関して受け入れる体制を作らないと難しいと思います。
先程も申し上げましたが、今まで培ってきたノウハウがあって初めて、ICT導入が成果を出していると思っています。これらを他の自治体や教育の現場に、単に「PCを導入しました」で終わらせずに伝えていければと思います。
―これだけつくば市が取り組めるのは、特区になっているから、という声も聞こえますが。
市原氏:つくば市は「ICT特区」を受けているわけではありません。「つくばスタイル科」というカリキュラムも、つくば市の持つ知財を使って、一歩踏み出した教育を、なかなか他ではできない教育を行って、他の自治体にも見ていただく。そのために私たちはやっています。
国から予算をもらってモデル校でやるのではなく、当たり前のようにICT活用がされているというところが、つくば市の先進的な部分と言えるでしょう。
つくば市にはICT教育、小中一貫教育について、他の自治体からかなりの研修を受け入れています。他の自治体でも、現場の先生はかなり興味を持っておられると思います。
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| アゼルバイジャンの情報通信技術大臣も視察に来た (提供:つくば市) |
―教育行政で、気になる自治体はありますか? また、どんな交流をされていますか?
市原氏:全公立高校にタブレット端末を導入した佐賀県も先進的な取り組みをしていると聞いています。つくば市へも、佐賀県から2名ほど研修にいらっしゃっています。意識の高い自治体は「自分たちはここをやろうと持っていてまだできていないが、つくば市ではやっている」ことがわかってもらえるのではないかと思っています。
昨年(2013年)はアゼルバイジャンの情報通信技術大臣が、小中一貫の教育の取り組みなどを視察されました。家庭学習システムなどのツールを当たり前に使っているところを評価されていたようです。
―学校だけではなくて、今後ICTを活用したい分野はありますか?
市原氏:色々なところで活用したいと思っています。先程の震災支援がうまくいかなかった家庭学習支援システムですが、つくば市にある小児病棟に入院している子どもが活用している、ということも聞いています。
あとは高齢者の皆さんがスポーツの効果を知るため、発信器をつけて心拍数や万歩計などのデータをサーバに蓄積し、筑波大学の先生に見ていただいてアドバイスをもらう、ということもやっています。
観光用にWi-Fiの設置や、情報通信研究機構(NICT)が開発した多言語翻訳システムを市の窓口に導入しようかな、と動き始めています。つくば市には120ヶ国、8000人に上る外国の方が住んでいます。私もそうですが、市の職員でも英語が話せる人があまりいませんから。
こうやって、市の抱える課題を解決していければと思っています。
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【市原健一氏 プロフィール】(いちはら けんいち) |
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注釈
*1:4C
協働力(Community)、言語力(Communication)、思考判断力(Cognition)、知識理解力(Comprehension)の4つを養うという、つくば市が掲げる教育ビジョン。
*2:うちの職員が1人南極に行っている
つくば市の職員・塚本健二さんが庶務・情報発信担当として、第55次南極地域観測隊に参加している。
*3:スタディノート
つくば市が導入している学校教育用のグループウェア。