インタビュー(3)
富山市長・森 雅志氏に聞く
地方自治を効率的に進めるICT活用の取り組み

2014/3/24  3/3ページ
富山市長 森 雅志氏
魅力的な都市をつくるための
アプローチが「ICT」です

―自治体におけるオープンデータの活用が目立っています

 オープンデータに関しては、各自治体で積極的に取り組むべきだと思います。現状、富山市はExcelファイルで公開していますが、加工はできません。そこはこれからの課題だと考えています。ただ公開自体はどの自治体もしています。問題はファイルが加工できるかどうかです。早く情報を公開した自治体ほど、公開したときのフォーマットが古いためで、順番に使いやすくしていくしか方法はないと思います。

 

魅力的な都市にするために


―GISをはじめとしたICTを有効に使っていく背景には、人口減少などの問題があるわけですが、それについてはいかがお考えでしょうか。

森氏:2010年をピークに日本の人口は減り始めていて、2050年には9700万人になります。人口の4分の1が減り、地方でも大きな影響があります。こうした人口減少の問題において、地方都市で大切なのは「減るにしてもゆっくり減るような対策」をとることです。そのためには「暮らしやすい街だな」と住民に感じていただき、ずっと住んでもらえる、あるいは他の地域から来てもらえるように都市の魅力を構築することが大切なのです。


 ただ「教育力が日本一」「福祉の水準が日本一」のように1つの面だけ秀でていても、人は定着してくれません。総合力が求められてくるわけです。そこで、経済や医療など様々な面で強力にけん引するものが必要となる。富山市の場合は中心市街地がまさにそのけん引役です。そこが引っ張ることではじめて全体の地域が元気になっていくのです。


 富山市では中心市街地の特性を最大限に活かすために、市民に対して「補助金を出すので駅の近くに住んだ方がいい」という提案をしています。そうした施策を重ねることで行政コストを抑え、市民の負担を上げないことが重要です。


 これから人口が減っていくことがわかっているのに、若者に負担がかかるような政策はできません。若い人が、「自分たちのために行政がやってくれている」と思うような政策をとらなければいけない――その魅力を高める1つのアプローチがICTなのだと思います。


ICTを活かしたこれからの取り組み

 

――現在はICTを活用してどんな取り組みをしているのでしょうか?

森氏:母子手帳と同じように子供の成長を記録できる、スマートフォンアプリの開発を行っています。2014年の秋にも運用する見込みで、開発予算におよそ1500万円を計上しました。子育てをする若い女性からみると、使い勝手がよいと思ってもらえるはずです。


 さらに富山市内の銀行の支店やATMにあるデジタルサイネージに、富山市の情報も出すように進めています。大きな台風や大雪に見舞われる場合、それに関する情報を流し、銀行で待っている人がサイネージをみて情報を得られるようにしたい。現在、富山市にコールセンターを誘致した日本ATMに相談するなどして、活用を検討している段階です。


 これからも富山市の施策にICTを絡めることで、富山市民が暮らしやすいまちづくりを行いたいと考えています。

(山下雄太郎)

注釈

*:地域包括支援センター
地域住民の医療の向上をはかるため、相談やケアマネジメントを包括的に行う介護保険法で設置が認められた機関。

森 雅志氏

【森 雅志氏 プロフィール】(もり まさし)
1952年富山市生まれ。中央大学法学部卒業。
1977年司法書士・行政書士事務所を開設。
1995年富山県議会議員に初当選。
1999年富山県議会議員再選。
2002年富山市長に就任。
2005年市町村合併で発足した新・富山市長に就任。

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