インタビュー(2)
富山市長・森 雅志氏に聞く
地方自治を効率的に進めるICT活用の取り組み

2014/3/24  2/3ページ
富山市長 森 雅志氏
スマートフォンから収集し、
ビッグデータとして蓄積します

スマートフォンなどでデータを収集


―なるほど。公園1つでもGISを活用すれば政策の決め手となりますね。

森氏:はい。また、ICTという意味では、産官学が協働で通信環境や情報端末を整備し、住民や富山に来た人に情報を提供する「富山まちあるきICTコンシェルジュ事業」にも取り組んでいます。富山大学や地元のIT企業・インテックなどがコンソーシアムをつくり、Wi-Fiスポットを充実させています。しかしまだ完ぺきではない。最終的には交通ICカードのデータ、スマートフォンなどのデータを収集し、ビッグデータとして蓄積していきます。これを交通政策だけにとどまらず、様々なことに使えるようにする予定です。


 ただ、この収集したデータに関しては、総務省の指導により、利用者の許諾を得たものを活用することになっています。ここは規制を強めるのではなく、誰だかわからないようにしつつも、「どのような人がいつ、どの停留所で乗って、どの停留所で降りたか」ということはわかるようにしてデータを利用していくべきだと考えています。それを使ったからといって、個人のプライバシーの侵害にはならないはず。ある程度議論したうえでデータを収集し、活用するようにしていけばいいと考えています。


位置情報を活用することで得られる恩恵


―なるほど。位置情報を利用することで便利になった事例として、印象的なものがありましたらお教えください。

森氏:埼玉県にイーグルバスというバス会社があります。全てのバスにWi-Fiを設置し、人が乗車すれば認識する機械を出入り口につけるようにしています。それを活用して顧客の動向を送信し、クラウドでデータを保存・分析を行っているのです。そうすれば、このバスの何時の時間帯は誰も乗車しない、ということがわかるというのです。


 バス停の場所は一旦決めてしまうと、それを動かすことに近くの住民は反対します。しかし住民の居住形態をみると、「もう500m南に下げた方がいい」というケースもあるわけです。全てのバスに、センサーをとりつけ、それを使ってどの場所にバス停を置けば一番便利かを判断する――これは交通におけるICTの活用という意味では、極めて優れていると思います。地元のバス会社にこうした取り組みを実行してみないかと現在提案しているところです。


 また、東京大学で位置情報の研究をしている教授に伺ったのですが、その教授のゼミの学生に、タイにあるタクシー会社のオーナーの息子がいたそうです。その学生は修士を取得して自分の国に帰り、1万台ある全部のタクシーにGPSを設置し、タクシーがどう動いているか把握しました。そして2013年の洪水のときに、どこへ逃げればいいのか、指示を送ったそうです。こうした災害に役立つのはもちろん「この時間帯はこの道を避けた方がいい」というのがとてもよくわかるそうです。


―位置情報を活用すれば、それだけ恩恵にあずかれるわけですね。

森氏:はい。スマートフォンのGPS機能をつかった位置情報の記録は、電源を切っても取得できるなど非常に便利な側面があります。しかしこうしたスマートフォンのGPS情報は、地方自治体が利用するには、まだ非常に高額なのがネックです。国がもっと支援し、自治体が買いやすくする必要があります。


 また、こうした位置情報以外にも有効に使えるようなビッグデータをもっと増やさなければなりません。もちろん、使う際にセキュリティポリシーをふまえ、個人の認識ができないようにするのが前提となりますが、人の動きや車の動きを読むという意味で、スマートフォンのGPS情報をより使うべきではないかと考えています。

>>魅力的な都市にするためのICTとは?

【関連カテゴリ】

トレンドその他