インタビュー 世界の中の日本  ハウステンボスの再建

1951年生まれ。ドイツ・マインツ大学留学。学生時代の海外旅行の経験をもとに旅行代理店H.I.Sを1980年に設立。2010年に経営不振のハウステンボスの再建に着手。同社の黒字化を達成した。

インタビュー(1)

ハウステンボス社長・澤田秀雄氏に聞く

世界の中の日本 ハウステンボスの再建

2013/11/28  1/3ページ
ハウステンボス社長 澤田秀雄氏 「まだ誰も手を付けていない案件
だからやってみたい

 開業以来赤字が続いていたハウステンボス(長崎県佐世保市)が再建を果たした。2013年度(24期)の中間決算では、売上高が100億2900万円、経常利益31億円となるなど創業以来過去最高を記録。2012年度(23期)の経常利益34億円を大きく上回ることは確実だ。これまでの取り組みとは? また海外の観光客を日本に呼ぶには? ハウステンボス社長の澤田秀雄氏にお話しを伺った。

再生に関わったきっかけ

―好調のハウステンボスですが、澤田さんが就任されるまでは赤字続きでした。ハウステンボスの再建を引き受けたきっかけは何でしょうか?

澤田氏:3つの理由がありました。佐世保市の市長に3度頼まれたこと。今まで観光に携わってきたので観光の活性化に取り組みたいと考えたこと。そして、誰もやりたがらない案件だからやってみたいと思ったことです。


 しかし再建は一筋縄ではいかのないものでした。まず市場が小さい。佐世保市や長崎市を足しても、市場規模は100万人もありません。首都圏の20分の1以下の市場だから、お客さんを集めるのも大変です。


 また、就任当時は授業員の平均年齢も40歳以上で、優秀な幹部もほとんどいませんでした。これまで続いていた「負けの文化」に慣れていたため、それを変えていくのが大変でした。

ハウステンボスの経常利益の推移。
澤田氏が就任してから年々黒字を達成している
(提供:ハウステンボス)
ハウステンボスの経常利益の推移。 澤田氏が就任してから年々黒字を達成している (提供:ハウステンボス)

―再建に着手して、どういったところを引き締めたのでしょうか?

澤田氏:これも3つあります。まず、開業から18年が経過していたので、施設のあちこちで錆や汚れが目立っていました。そこで施設をきれいにすることを心掛けました。


 また、従業員には「とにかく明るく、元気に働こう」と指示しました。当時は従業員の年齢は高いうえ、ボーナスが10年間も出ておらず、お客さんも毎年減るなど、マイナスの影響が目立っていました。せっかくお客さんが楽しんでいるのに、従業員が暗くては何もなりませんので。


 そして3つ目は、経費を下げるようにしました。具体的には経費を2割下げ、顧客を2割前後増やすことを心掛けました。両方足せば「4割」なので、これで黒字になると考えたのです。


―広大な敷地で従業員と接することも大変だったのではないでしょうか?

澤田氏:敷地内に店舗は40~50店はあるので、毎回従業員全員と接することはできません。しかし、できるだけ園内を巡回する努力をし、徐々に全体を把握することができるようになりました。


 次第に環境を変えていくことで集客に変化が見え、従業員にもボーナスが出せるようになるなど、徐々に変化が見られるようになりました。

日本一、世界一のイベントを企画

―個性的なイベントなどで、来場者数も劇的に増えました。

澤田氏:当初は多くのお客さんに来ていただくため、入場料を下げていました。しかし値段を下げても、無料にしても来ません。ほかでも見られるようなイベントではお客さんは来ないのです。陶器市をやったところで、佐賀県有田市にも有名な陶器市がありますし、その他にも九州にはイベントがたくさんある。「値段ではない」ことをそのときに勉強しました。


 そこで普通のイベントでは集まらないのであれば、他でやっていないような「日本一のイベント」をやろうと考えました。いかに「お客さんに喜んでいただくか、感動していただくか」を考えて取り組んだところ、次第にお客さんが集まるようになりました。


 10月に開催している「ガーデンニングワールドカップ フラワーショー」は世界のトップガーデナーが集う世界有数のイベントです。それなら人は見てみたいと考えるわけです。

2013年に行われたガーデンニングワールドカップ 
フラワーショーの様子(提供:ハウステンボス)
2013年に行われたガーデンニングワールドカップ  フラワーショーの様子(提供:ハウステンボス)

 また、アジア最大級の「100万本のバラ祭」も特徴的なイベントの1つです。このイベントではリピーターが増えています。バラは1年にわずか2週間しか咲かないので、その時期に女性の方が来られると感動されます。そのため1年に1回は必ず来場するリピーターがいます。


 人気アニメ『ONE PIECE』に出てくる「サウザンド・サニー号」のクルージングなど、旬なものを取り入れることで、注目度も上がりました。しかし、あまり旬なものにこだわると、旬を過ぎたときに客足が鈍るので適宜見直しが必要だと思っています。

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