電子書籍市場のこれから
~専用端末と日本市場~
西田宗千佳 ジャーナリスト
2013/1/24  1/3ページ

怒涛のように発売された電子書籍専用端末。少しずつ広がる電子書籍市場の起爆剤となるのか? デジタル関連に詳しいジャーナリスト・西田宗千佳氏に現在の電子書籍市場を読み解いていただいた。

電子書籍市場の成り立ち

―2012年は電子書籍専用端末が多く発売されました。振り返っていかがでしょう?

西田氏:たしかに2012年には電子書籍専用端末が多く発売されましたが、それよりも前からかなりの量に上る電子書籍が読まれていました。それは主に携帯電話上であり、若年層向けの書籍や、携帯小説、漫画などが売られていたのです。ここで販売されていたコンテンツは現在の電子書籍とは異なり、携帯電話用にカスタマイズされ、主たるプレーヤーもいわゆる出版社ではありませんでした。しかし、WEB上のコンテンツとしては珍しくきちんと金銭の支払いが発生しており、世界でトップレベルの市場規模がありました。

ジャーナリスト 西田宗千佳氏
ジャーナリスト 西田宗千佳氏

 電子書籍専用端末の一連の流れは、携帯電話用ではなく、紙の本と同等のものを、電子書籍という形で読みましょうというものです。米国では、アマゾンがKindleを出して、端末に対して本を売る為のサービスと共にスタートさせました。


 一方、日本では2008年頃から普及したスマートフォン(スマホ)やタブレット端末のように、専用端末なしで紙に近い感触で読める媒体がありました。2009年の末には、電子書籍サービスがスタートしています。しかし、出版社側が、電子書籍を大量につくる準備が整わないうちに電子書籍のサービスを始めたため、本の数がなくサービスになりませんでした。アマゾンは、本がなければサービスが成立しないことを知っていたため、日本市場へはコンテンツが揃うまで待っていたそうです。


 そして2012年になり、ようやく出版社も数がそろってきたので、電子書籍端末を製作し、紙と同時に販売する準備を整えてきました。その準備が整ったところに「待ってました」と言わんばかりにアマゾンが参戦してきたのです。つまり、端末ができる技術がこの時期に整ったのではなく、“市場の準備が整ったから”専用端末が出てきたと言えます。


―準備が整ったのは技術ではなく市場だったわけですね。だからこれだけ一気に端末が発売されたわけでしょうか。

西田氏:別の言い方をすると、日本の企業が業界を作ってきたけれども、アマゾンが後から来て消費者、特に中心は高感度のネットユーザを取りこんでしまったわけです。


 確かに、日本の電子書籍のサービスのが、アマゾンが出てくる前に顧客をつかむ努力ができていたのかというと、難しいところです。2年間、他のサービスは何をやっていたのかと。現状だけ見ると「あなた方はアマゾンのために、電子書籍市場という土地を耕して終わったのですか」という話になってしまいます。

電子書籍専用端末とは?

―電子書籍端末がほかのスマートフォンやタブレットと違う点はどこでしょうか?

西田氏:電子書籍の端末は本が特別に好きな人向けのものです。なぜなら1台1万円以上するのに、本を読むことしかできません。世の中の大半である「ベストセラーしか読まないような層」は、年に5冊も本を読みません。しかし職業的に本を読んでいる人間は、月に10~30冊読むのは当たり前です。となると、年に200冊読むとすれば1冊あたり50円、年に5冊しか読まないとなると、1冊あたり2000円にもなるわけです。

>>電子専用端末を使う層とは?


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