SNSの可能性と危険性
~大きく変わった人々のコミュニケーション~
西田公昭 立正大学心理学部教授
2012/5/24  3/3ページ
リアルなところでの「対面」は
絶対に必要だと西田氏は語る
リアルなところでの「対面」は 絶対に必要だと西田氏は語る
 

―SNSが普及してビジネスで使うシーンが多くなっても、どこかで人と人とが対面して会うことはやはり必要となるのでしょうか?

西田氏:「信用」を得るためには対面はとても重要になります。そうでなければ詐欺や悪質商法のようなものは必ず出てきます。それをさせないためにも、リアルなところで「一度対面すること」は絶対に必要となってくるのです。つまり信用が必要なシーンでは「バーチャルな人間像」を「リアルな人間像」と切り離すことはできないのです。両面ともその人なのです。実際にお金を動かすとか、ものを流通させるというところであれば、なおさらバーチャルだけでは難しいわけです。


―やはり、SNSのネガティブな側面を考えざるを得ないわけですね。負の側面はいつまでたってもなくならないでしょうか?

西田氏:はい。悪用するということはさらに広まっていくでしょうし、思いもよらないことが起こるかもしれません。SNSを利用して、人の身ぐるみを剥ぐような恐ろしいことが行われることも想定できます。私は、バーチャルの世界でマインドコントロールや、財産を奪うことが広がらないように警鐘を鳴らしています。すでに巨額な詐欺や怪しいカルト団体からの勧誘のケースなどが報告されています。これまでネットを特に利用してこなかったITリテラシーが低い層であっても、現在のように簡単なツールであれば使う人数も増えてくるでしょうから、悪用される可能性は常に念頭に置くべきだと思います。

強調すべきSNSの危険性

―SNSの今後についてどのような注意点があるとお考えでしょうか

西田氏:SNSによって人間のコミュニケーションは一変しました。しかし急激な変化というのは、大きな危険性を生みます。時間をかけて変化するものについて人は対応しやすいのですが、急激な変化だと、落とし穴があっても気づきにくいものです。


 そのため、義務教育で「メディアリテラシー」や「携帯電話のコミュニケーション」「SNSでのコミュニケーション」を授業でもっと積極的に取り入れてもいいと考えています。ネットワークを通じた“フェイスレス”コミュニケーションを学ぶ…そういう時代がきていると思います。


 近年になってわずかずつですが、マスメディアもSNSの危険性を報道し始めています。今まではSNSというとポジティブな側面ばかりがクローズアップされてきましたが、そろそろその危険性を本当に考えていかなければならない時期にきています。

(山下雄太郎)
西田公昭氏

【西田公昭氏 プロフィール】にしだ きみあき
1960年生まれ。立正大心理学部対人・社会心理学科教授。博士(社会学)。 1984年関西大学社会学部を卒業し、同大学院社会学研究科に入学。 1989年同大学院社会学研究科博士課程を単位取得退学。 1992年静岡県立大学国際関係学部および同大学院助手となる。その後、米国スタンフォード大学心理学部に客員研究員、静岡県立大学看護学部講師、准教授などを経て現職。 2000年「オウム真理教の犯罪行動についての社会心理学的研究」で日本社会心理学会研究優秀賞受賞。

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