SNSの可能性と危険性
~大きく変わった人々のコミュニケーション~
西田公昭 立正大学心理学部教授
2012/5/24  2/3ページ

西田氏:こうしてSNSの普及により便利になった点は多くありますが、同時に大きな危険性も孕むようになりました。例えばFacebookの場合、機能をよく知らずに使うと、全ての入力情報が「公開」になります。プロフィールを読めば、その人がどんな人なのかが理解できます。GPS機能もついていますので、その人の活動範囲がすべてわかってしまう。つまり、その人の活動や生活の多くを世界に公開しているようなものです。そのため、第三者であっても、何らかの目的をもって情報を集めれば、かなりの詳細な個人像を把握することができます。


 バーチャルとはいえ、その人の生活空間を当人の知らないところで誰でもが想像できるようになる。悪意のある第三者が、ネット上で入手した個人の情報を使って悪事をはたらくケースも想定できます。SNSは人間関係を楽しく円滑にするためのコミュニケーションツールとして使われますが、そこを狙われる危険性が高くなっていると言わざるを得ません。

サブカルチャーからメインカルチャーへ

―なるほど。便利になった反面、悪いことに利用される場面も増えてきたわけですね。

西田氏:SNSを用いることで、「バーチャルな世界の自分」と「リアルな世界の自分」を違う自分として振舞うことができるように見えますが、実はその逆で関連しあっているのです。バーチャルとリアルの世界はSNS上で常につながっているのです。そのため、SNSを用いてネット上のコミュニケーションを変えることは、その人のリアルな人間性や人間関係にも当然影響してくる。近年ではそれがカウンセリングにも利用されるようになってきています。


―バーチャルの存在感が増してきて、リアルに影響を与えるようになってきたわけですね。

ソーシャルメディアごとの利用頻度(単純集計)
(出典:総務省 ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究 平成22年)
ソーシャルメディアごとの利用頻度(単純集計)
(出典:総務省 ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究 平成22年)
SNSの利用頻度(世代別)
(出典:総務省 ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究 平成22年)
SNSの利用頻度(世代別)
(出典:総務省 ソーシャルメディアの利用実態に関する調査研究 平成22年)

西田氏: 10年ほど前は、「ネットの世界」というのは、リアルの世界でうまくいかない人の逃げ場であったり、一部の人の世界というイメージがある、いわゆる「サブカルチャー」でした。しかし、SNSの登場で、現在は「メインカルチャー」となりつつあります。例えば、特定の個人について判断するときに、以前のように直接対面したときの印象はもちろんですが、これからはネット上での印象も重要になってきています。このようにSNSは誰もが使えて、共有でき「誰もが使いこなさないといけない」時代になったのです。

SNSで今後展開されるコミュニケーション

―これからSNSではどのようなコミュニケーションが展開されていくと思いますか?

西田氏:ビジネス上では全く知らない人にコミュニケーションの範囲を広げたり、連携を行なっていくことが、大きな可能性になると思います。SNSがより広範の層に利用されるようになれば、新たなるマーケティングの手法になることが確実です。テレビのスポットCMに投資するよりも、SNSによる口コミを使った方が、伝わるところが大きいわけです。そもそも、テレビのスポットCMはイメージ戦略の面が強く、15~30秒では見ている人に本質的には伝わりにくい。しかしSNSを通じた、購買者による口コミは製品の「本質的」な良さを詳細に伝えることもできる。あるいは、口コミを読んだ未購入者が新規の顧客になってくれるかもしれない。その点でもSNSは非常に効果的なものなのです。      

>>ビジネスでも活用できるSNS。今後の注意点とは?

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