―プロジェクトの途中、2009年に「事業仕分け」が入り、一時は「スパコン凍結」という結果となりました。どのようなお気持ちでしたか。
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| 事業仕分けがあっても現場のモチベーションは高かったという |
渡辺氏:事業仕分けは、開発という面よりもプロジェクトの進め方で予算がなくなりそうになったのです。予算を減らされてしまうかな、とは思っていましたが、まさか「凍結」になるとは誰も思っていませんでした。
開発の技術的な問題でトラブルが起きて予算が削られるということではありませんでしたから、事業仕分けそのものにはプレッシャーを感じませんでした。ただ、事業仕分けをきっかけに全国の注目を集めることになりましたから、「これは失敗したら大変なことになる」と思いましたね。
―事業仕分けをきっかけに様々な外野の声が飛ぶようになりましたが、スタッフのモチベーションが下がることはあったのでしょうか?
渡辺氏:モチベーションはありますよ。研究者なり技術者なり、現場の担当レベルは事業仕分けがあろうとなかろうと関係ないです。
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| スパコン「京」。2012年の完成時には864台が稼働する 提供:理研 |
―「京」は完成すると864台のマシンとなるわけですが、運用方法としては「300台分だけ借りる」ということもできるのでしょうか?
渡辺氏:基本的にはそうですね。1ユーザが全台を使うというのは、超大規模な計算が必要な場面に限定されると思います。
―なるほど。では現在(2011年8月)の「京」はどこまで完成しているのでしょう?
渡辺氏:すでにハードは出来上がっていますが、ファイルシステムやスケジューラ(コンピュータを効率よく動かすためのソフトウェア)などの運用ソフトはこれからです。
LINPACK(連立一次方程式を解くスパコンの性能計測プログラム)は、ソフトの一部を使うだけでハード全体を動かせますが、実際に「京」を運用するとなると、システム全体を1つに見せる必要があるのです。今は運用ソフトの開発に全力をあげています。
現在、「京」の一部を使用してアプリケーションを実行していますが、これは「京」をフルスロットルで動かすためのチューニング作業が主体です。
10ペタFLOPSの性能をフルに出さないと計算ができない、というものもあるのです。素粒子の解析などで「京」がフル回転していれば10時間かかる計算が、少しでも計算速度を落とすと10倍かかってしまう。こうしたことも起こり得ます。しかし、100時間もその解析だけに使わせるわけにはいきませんから、アプリケーションで「京」が無駄なく能力を出すためのサポートも行っていきます。
―米国では20ペタFLOPSのスパコン開発も進められています。海外のスパコン開発も意識をしていらっしゃるのでしょうか?
渡辺氏:特に米国や中国が何をやっているのかな、というのはウォッチしています。中国は国を挙げて取り組んでいますが、ハード技術やアプリケーションは今のところまだまだのようです。
ただ、中国も独自のチップ開発を行っているので侮りがたいです。近い将来アプリケーションの方も力をつけてくると思います。


