高橋名人 携帯ゲーム、これからどうなる?
~高橋名人が描くネットワークと携帯ゲーム~
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2011/8/25  3/3ページ

―確かにやめられませんね。

名人:ファミコンを使って遊ぶ、というのは実は非常に画期的なことだったんです。それまでテレビは、放送局側が送りだすコンテンツを見るだけの機械だったのが、これにファミコンをつなげてスイッチを入れると自分が操作できるキャラクターが出てくる。AボタンやBボタンを押せばダッシュする。


 こんな面白いこと、子供がやめられるわけがありませんから、誰かが止めろと言わなくちゃいけない。その役目がたまたま私だったんです。

「PS Vitaの登場は端末の垣根を取る」
「PS Vitaの登場は端末の垣根を取る」

携帯ゲーム機はどう進化する?

―そうでしたか。では、ネット(3G回線)に接続できるPS Vitaの登場は今後の携帯ゲームにどんな影響を与えるのでしょう?

名人:PS Vitaは、携帯ゲーム機がいつでもどこでもインターネットにつながることを提案しているわけです。ですから、ネットにつながって当たり前ということをソフトハウスも意識すると思います。


 あとは3G回線の接続料金がいくらになるのか、というのもあります。月々4000円だとちょっと手が出しづらいですが、これが1000円になったら気にせず買っちゃおう、という気持ちになります。そうなると、これまでのスマートフォンの料金はどうなるのか? ということもユーザさんの疑問点になるでしょう。


 今はそれぞれの端末が進化してきていますから、ユーザ側からしてみれば、ゲーム機とPCとスマートフォン、将来的にこの垣根はなくなってくるのではないでしょうか。PS Vitaの発売はこうしたことも投げかけてくると思いますよ。


―PS Vitaの他に、Wii Uも2012年に発売を予定しています。この2つのゲーム機であったらいいな、というゲームはありますか?

名人:そうですね、PS Vitaは背面にタッチパッドがあります。昔、プレイヤーが神様役として惑星を作る「シムアース」というゲームがありましたが、このゲームで、背面を押したところに山が「ポコッ」と出てきて地形を変化させるようなゲームがあると楽しいですね。


 Wii U(任天堂)は、ゲーム機単独でも動かせますが、テレビ画面と連動しますので、テレビ画面をメイン、手元のWii Uをサブモニターとして使うことができます。例えば野球ゲームの対戦プレイ時に、手元のサブモニターでピッチャーがどんな球を投げるか、相手に見えないように投げることができるような、駆け引きが必要なゲームなどが出てくるんじゃないか、と思っています。

遊ぶ人の空想する余地があるゲームを

―高橋名人が理想とする、これからのゲームのあり方を教えて下さい。

名人:今はPS3のようなハイスペックなゲーム機がたくさんあります。画像がきれいで、細部にわたってリアルにキャラクターが描かれる、という方向性を目指すのは悪くありません。しかし、それよりもゲームにとって大事なのは「遊ぶ人の空想する余地がある」ことだと思っています。


 きれいな画面で細かく書かれていると、ゲームで遊ぶ方は創造力が働かないんです。昔のファミコンは、粗いドットでキャラクターを描いていて「絵」と呼べるものではありませんでした。でも、粗いドットのゲームキャラクターだからこそ、子供たちがキャラクターを想像してイラストに起こした時に、色々な絵が出来上がるんです。


 さすがにドット絵のゲームをPS3で出すのは厳しいでしょうが、ニンテンドーDSやPSPで出す分には、ユーザは受け入れると思います。絵本が子供の想像力にちょっとだけ手助けをするように、続きを自分で楽しむことができるようなゲームがどんどん出るようになればいいですね。

(中西 啓)

注釈

*:UMD(Universal Media Disc)
ソニーのPSPに採用された光ディスク。

高橋名人

【高橋名人 プロフィール】たかはし めいじん
本名:高橋利幸。ゲッチャコミュニケーションズ 名人。 1959年5月23日生まれ。
1982年ハドソン入社。
1985年「第1回全国ファミコンキャラバン大会」で「名人」に。
「1秒間にボタンを16連射する」というテクニックも相まって当時の子供たちに圧倒的な人気を誇った。
2011年6月より現職。

自身がキャラクターになったゲームに「高橋名人の冒険島」シリーズ、「Bugってハニー」がある。
著書に『高橋名人のゲームは1日1時間』(エンターブレイン)など。

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