
日々進化し続けるゲーム業界。2011年に発売が予定されているプレイステーションVita(PS Vita)では、インターネットに常時接続できる機種が登場する予定だ。子供たちを取り巻くゲーム環境も変わってきたが、これからのゲームにはどんな未来が待っているのか?
「1秒間に16連射」でファミコン時代に一世を風靡、現在もあらゆるゲームの宣伝マンとして活躍している「高橋名人」こと高橋利幸氏に、ネットワークと携帯ゲームの現状、そしてゲームのあるべき姿を伺った。
―まずは、ネットワークにゲームがつながる魅力を教えてください。
名人:ゲームは1人でも楽しめますが、「みんなで競い合う」という面白さも大きいと思うんです。1983年にファミコンが発売され、1990年代にスーパーファミコン、プレイステーションと出てきましたが、その当時はネットワークもほとんどありません。
ですから、ゲーム大会をするとなると、そこに足を運ぶことになるんです。私がハドソンにいた頃も、ゲーム日本一を決める時には夏休みの40日間、2手に分かれて全国キャラバンをしていましたから。子供たちに「東京に来い」とは言えませんからね。
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ゲッチャコミュニケーションズ 高橋名人 |
でも、ゲームがネットワークにつながってプレイの結果が残っていれば、世界規模で、いつでも「ゲーム大会」ができるんですね。Wi-Fi接続の対戦なら時間を合わせて友達と、タイミングが合わなければ知らない人と対戦できます。剣豪の「宮本武蔵」じゃないですが、誰とでも対戦して自分の腕を上げる、ということがいつでもできる、というのがネットワークの魅力だと思います。
隣に人がいない限り、ゲーム上での対戦はリアルな人間かコンピュータなのかは分かりません。感覚としてはバーチャルの世界なので、「自分は下手だからゲーム大会に参加するのはちょっと」という部分を拭い去ることもできますから。これも魅力のひとつだと思います。
―なるほど。では、ネットワークゲームと通常のゲームとの違いは何でしょうか?
名人:日本のオンラインゲームは「レベルが高い方が強い」という欠点があるんです。あるオンラインゲームをすぐに始めた人と、2~3週間経ってからやり始めた人では、自分がプレイするキャラクターなどのレベルの差が大きくなってしまいます。後からプレイを始めた人は、「出遅れた」感をどうしても覚えてしまうんです。この部分の差を何とかするのはソフトハウス(ソフトウェアメーカー)さんのアイディア力にかかっています。
逆に通常のゲーム、コンシューマ(家庭用ゲーム機)のソフトは、ゲーム内のレベルに関係なく、自分の腕前だけで対戦するゲームが多い気がします。例えばハドソンの「ボンバーマン」は、テクニックを持っている人とそうでない人では大違いです。でも、ゲーム内のレベルでキャラクターの強弱が決まるわけではありません。
オンラインゲームでもボンバーマンのような、単純にレベル差が反映されたバトルだけではなく、「仲間でプレイする」要素があればいいと思うんですけどね。
―「モバゲー」などのSNS系ゲームでは、ほとんどのゲームで、レベルアップがすぐにできるアイテムを購入する課金システムを採用しています。
名人:SNS系のゲームは、時間をかければ無料で進めることもできます。人がかけた時間の対価は何かと考えれば、「お金」というのは非常に分かりやすい形だと思います。