クラウド利用の未来像
~リスク責任の所在を明らかに~
慶応大学総合政策学部長 國領二郎氏
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2011/7/21  1/3ページ

2011年4月に発覚した、ソニーの1億人超の情報漏洩事件。一部ではクラウド・サービスを土台にサイバー攻撃を受けたとも報じられており、少なからずクラウド利用に水を差す形となった。夏の電力供給も不安視される中、クラウド事業のあるべき姿はどのようなものか。クラウド事情に詳しい慶応大学総合政策学部長の國領二郎氏にお話を伺った。

クラウド・サービスに対する企業の姿勢

―クラウド・サービスを利用するにあたってセキュリティは当然重要になります。自社にデータを置く場合と比較して安全性はどうなのでしょうか。

國領氏:ユーザが自分の手元にデータがある状態と、サーバ側にデータがある状態とどちらが危険なのか。端末がウイルスに感染してデータが流出するという例はこれまでにも数多くありましたから、なんとも言えません。


 いずれにしろ、ネットワークを介しながらデータをやり取りすることが前提となるクラウド的なサービスになった時に、これまで以上により多くの人がセキュリティの問題に関心を持つべき状況が出てきていることは確かです。

慶応大学総合政策学部長 國領二郎氏
慶応大学総合政策学部長 國領二郎氏

―セキュリティ面のほかに、日本でのクラウド活用にあたっての問題点を教えてください。

國領氏:課題点と一口にいっても、ユーザ側と提供側、またユーザも個人ユーザと法人ユーザによって違います。まず個人ユーザについては、米国などよりもブロードバンド環境は整っているので、クラウド利用のベースは整っています。他国と比べて特に不利ではありません。


 法人ユーザの問題点ですが、データの扱い、特にプライバシーの扱いについて日本はかなり厳しいです。医療関係のデータ保存などは縛りがきついので、簡単にはクラウドの利用が進みにくい雰囲気です。


 著作権問題に絡む問題が悩ましいところです。今年(2011年)の6月には、アップルがiクラウドの提供を発表しています。ネット上で自分が購入した曲があれば、どの端末でも利用ができるような環境を構築しています。しかし、日本の環境ではやりにくいでしょう。


 また、日本では裁判になる前に業界団体が自主規制をしてしまいます。米国にある企業の場合は、裁判も辞さずという姿勢でビジネスをしています。日本企業はそうではありませんから、なかなか進展しないところがあると思います。


 しかし実を言うと、法律に引っかかることを懸念するほど、現実の法規制は厳しくないはずなのです。個人情報保護法が最たるものですが、日本では何かにつけて行動する前にブレーキをかけてしまう企業がほとんどです。

>>国内でクラウド事業が進展しない理由は?


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