内部犯行を「プロファイリング」~犯罪心理学で見る内部犯行への対策~ 越智啓太 法政大学教授
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2011/2/24  2/3ページ

内部犯行は「道具的犯行」と「表出的犯行」

―内部犯行のお話に戻りますが、2010年の海上保安庁の映像流出事件なども含め、内部犯行の動機はどのようなものがあるのでしょうか。

内部犯行のカテゴリー
内部犯行のカテゴリー

越智氏:様々なタイプがありますが、基本的に「道具的犯行」と、「表出的犯行」の2つに大きく分けられます。


 「道具的犯行」とは、犯行の目的が金銭などであり、システムを「道具」として利用した犯行のことです。「表出的犯行」というのは、会社に対する嫌がらせや復讐など、犯行によって自分の感情を満足させることが目的になります。


 また、表出的犯行の中でも「告発的犯行」と呼べるようなものもあります。これはよくあるケースで、「表出的犯行」では会社に憎しみを抱いていますが、この場合、不正経理を2ちゃんねるに書き込むなど、どちらかと言えば正義感を満たすことが目的です。


 海上保安庁の事件は、組織との関係ではなく社会に発表するというものですから、「告発的犯行」のカテゴリーに当てはまります。ウィキリークスの問題も同様です。



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プライドは高いが評価は低い「表出的犯行」タイプが危ない

―内部犯行の動機は「道具的」「表出的」「表出的な中でも『告発的』」というカテゴリーに分けられましたが、企業にとって、情報漏洩を含めた犯行を行う可能性が高いのはどのような性格なのでしょう?


越智氏:「道具的」な犯罪は、持ち出した顧客リストを販売するなど、コンピュータを使用した「普通の犯罪」で、動機も「金がもらえればいい」という明確なものになります。


 一方、「表出的犯行」は、プライドを傷つけられた上での犯行です。人間の怒りは、「プライドを傷つけられた」時が一番強力です。内部犯行に限らず、どの犯罪でも「自分のプライドが高いけれども、周囲の評価は低い人」、すなわち「表出的犯行」タイプの人間が、一番注意すべきタイプになります。プライドの高い厄介な人は実力が伴わないのが普通ですが、IT業界ではこういう人がそれなりに技術を持っていることが多いんです。


 「表出的犯行」タイプの特徴は、「技術が飛び抜けて高い」と自分では思っている点です。ですが、実際に仕事を任せてみると人並みレベルで、周囲の評価は下がります。周囲の評価とのズレに不満を持ち、やがて犯罪に走る、というのが「表出的犯行」の流れです。

>>内部犯行をさせないための対策は?

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