内部犯行を「プロファイリング」~犯罪心理学で見る内部犯行への対策~ 越智啓太 法政大学教授
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2011/2/24  1/3ページ

海上保安庁の映像流出事故を始めとした、組織内部からの情報漏洩が目立った2010年。企業内の顧客情報流出や、構築に携わったシステムを破壊するなどの内部犯行は、どのようなきっかけで起こってしまうのか。またこれを防ぐ有効な対策はあるのか? 警視庁の科学捜査研究所(科捜研)に勤務し、現在は法政大学でプロファイリング(犯人像の推定)など犯罪心理学を研究している越智啓太教授にお話を伺った。

昔から「内部犯行」は多かった

―越智先生は1992年から2001年まで警視庁・科捜研に勤務されていましたが、その頃の内部犯行というのはどういったものが多かったのでしょうか。  

法政大学文学部心理学科 越智啓太教授
法政大学文学部心理学科 越智啓太教授

越智氏:科捜研にいたころは、ひき逃げや窃盗などの犯人に接していました。窃盗といっても、警察に届けられる事件のほとんどが社内から金を盗むなどの「内部盗」と呼ばれる内部犯行によるものです。例えば会社の金庫や、飲食店やコンビニなどのレジから金を盗むなどのケースです。民家に侵入する、という一般的に想像する窃盗事件よりも件数は目立って多かったです。


 こうした内部犯行の犯人は、得てしてごく普通の人物です。そのため人が悪いから盗むというよりも、盗まれても仕方がないという社内環境になっていることがほとんどでした。社員全員が見ているところで社長が机の引き出しに金庫の鍵を保管していたり、飲食店の現場管理が甘かったりなど、明らかに管理側の過失が目立つケースが多かったです。ひどい場合だと、金庫のダイヤルを合わせたまま使用している、というものもありました。


―デジタルデータを使った情報漏洩などの事件は、先生が科捜研在職時からあったのでしょうか。


越智氏:いえ、この頃は情報漏洩を罰する法律がありませんでしたからね。PCやネットワークに絡んだ事件で言えば、パソコン通信の通信ポイントをだまし取るなど、なりすまし犯罪を行ってメリットが出るようになってから発生してきました。


 ネット犯罪が起き始めたころは警察でも混乱していましたね。これまでの犯罪と違い、被害者・犯人・サーバが別の場所にあることが普通です。どこで犯行が行われたか、被害に遭った場所である「犯罪地」がどこになるのか、というのが不明確で、なおかつ犯罪調書を取るためのフォーマットも捜査官や検事がゼロから作らなければならない、という状態でした。1995年に発生した一連のオウム事件をきっかけに、デジタルデータの何を証拠とするかなどの技術や法整備が進みました。

>>内部犯行はどのような動機でなされるのか?


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