月島食道楽:串揚げ ぜん

左からブタねぎま(\130)、ハムカツ(\130)、トリ大葉(\130)、ぎんなん(\110)、エビ大葉(\150)、ししとう(\110)。細かいパン粉でできた衣がとにかくサクサクしていて食感が良い

第34回「串揚げ ぜん」

地元に愛されるキッチンとして

2014/3/6

 夜にふらりと月島・もんじゃストリートの明かりを頼りに勝鬨方面に歩いてみる。楽しげな観光客と、それを呼び込む店で賑やかな通りに、時折交わる横道。ふと、のぞいてみると、もんじゃストリートと比べてぐっと控えめな明かりが見える。ストリートは観光客。横道は地元民。不思議と、そんなすみわけがされているようにさえ思える。月島にありながら、もんじゃ以外の美味い店を紹介していく月島食道楽。今回紹介するのは、もんじゃストリートの三番街と四番街の横道に店を構えている「串揚げ ぜん」だ。


 「串揚げ ぜん」は、地元の人が気軽に来られるようにと、かなりリーズナブルな値段でバリエーション豊富な串揚げを食べられるお店だ。赤い看板に釣られて店に入ると、所狭しと、壁一面に張られた串揚げのお品書きが目を引く。中には、爆弾(煮卵)やフォアグラなどの変わり種もあるようだ。


「いつも串揚げのことを考えて、新しいアイデアを思いついたら、暇を見て試しています」


 そう話す店長の平松貴幸さんは、2014年1月からこちらのお店を開業している。それ以前から、こちらは串揚げのお店のようで、内装やメニューなどを引き継いで、営業している。平松さんのみならず、店員からのアイデアが出たらとりあえず試作してみて、美味しかったらお客さんに出す。月2、3種類ずつ新作が加えられており、頻繁にくるようなお客さんでも飽きが来ない。


 早速、串揚げを頂いてみると、素材の味が濃い。ブタねぎま、ハムカツ、トリ大葉、ぎんなん、エビ大葉、ししとうの6つを食べてみた。どれも濃厚な味わいなのだが、大葉などで一味入れているものもあり、とても軽く食べやすい。衣のパン粉が細かい割に、サクサクと揚がっているからだろうか。


 串揚げがサクサクしている秘密は二度揚げにある。二度揚げとは文字通り、一度揚げたものを外に出して中に熱が通るまで置いて、再度揚げる方法のこと。そうすることで焦がさず中まで熱を通し、置いている間に余計な水分が外に出て、2度目に揚げたときに、いい塩梅に仕上がり、うまみも増すそうだ。

牛すじ。ちなみにこのボリュームで450円。はっきり言って安すぎる…。   カキの和風ソテー、450円。こちらもかなりお得。
牛すじ。ちなみにこのボリュームで450円。はっきり言って安すぎる…。   カキの和風ソテー、450円。こちらもかなりお得。

 「これでもか」と酒が進んでしまうのは、串揚げだけではない。月島グルメの定番・牛すじも提供しており、これがかなり美味。「リーズナブルな値段でよい味が出せるんです」(平松さん)とのこと。牛すじの定番的、しょうゆ味噌風味の味付けで、こちらもお酒に良くあう。たっぷりと入れられた大根にも、煮汁がしっかりと染みていてたまらない。もうひとつオススメとして出してくれたカキの和風ソテーも結構な量があって、やはり450円と安い。肝心なお酒の方は、日本酒好きの店長が自ら選んできたおすすめの酒を、毎月入れ替えているので、頻繁に通いたくなってしまう。


「最近家庭では揚げ物をやらなくなっていると聞きます。そんな家庭では作るのが面倒な串揚げを、地元の人たちに気軽に食べに来てほしいと思っています」


 月島に密着した「月島のキッチン」と言おうか。とはいえ、常連客しか寄り付かない店という訳ではなく、むしろサラリーマン客がよく集まっており、ふらっと立ち寄りやすい雰囲気。遅い時間まで営業しているので、もんじゃの後に、アットホームで美味な串揚げとともに一杯飲むのもオツかもしれない。終電だけは気を付けて。

(井上宇紀)
串揚げ ぜん

串揚げ ぜん
住所:東京都中央区月島3-6-7
電話番号:03-5547-8101
営業時間:17:00~26:00(LO25:00)
定休日:年中無休