月島食道楽:年輪

やわらかチキンスープカレー(\980)。新鮮な野菜をふんだんに使い、 辛さの調節もできる店の主力メニューだ

第31回「年輪」

北海道だけじゃない、「人の輪」を大事にする店

2013/11/25

 月島・佃でもんじゃ以外のお店を紹介する「月島食道楽」。第31回目は月島でスープカレー・十勝豚丼など、北海道料理を味わうことができ、人のつながりを大切にしている店「年輪」を紹介する。


 月島駅10番出口を出てすぐの路地に入ると、紅葉色づく市民の憩いの場・月島児童公園がある。その公園沿いの道を歩くと、木造2階建ての建物の前に「豚丼・スープカレー」と書かれたのぼりが見える。


 「年輪」は2010年にオープン。4年前にキッチンカー(移動販売車)で浜松町にあるオフィスを中心に、スープカレーと十勝豚丼を販売したところ、好評を博したことが店を構えたきっかけ。この2品にフォーカスした店の出店を考えていたところ、家主が好きにアレンジしてよいという物件を月島で見つけ、この地に店を構えた。


 「オープンまでの過程で、道行く人から励ましの声をいただき、地域の温かさを感じた」と話すのは店主の黒川泰地さん。オープン後も洗い物を手伝ってもらったり、店のメニューの一部を考えてもらうなど、地元の人の助けが「輪」となって支えられていることから、店名を「年輪」と名付けた。

月島の木造建築を生かした店内のインテリア
月島の木造建築を生かした店内のインテリア

 北海道の野菜や魚を、契約する農家・店から直接送ってもらうなど「素材の良さ」にこだわる。「手作り」を信条とするなど、料理に手間を惜しまないのも売りだ。「北海道の親戚の家に立ち寄るような感じの店」(黒川さん)を目指しているという。


 店の主力はスープカレー。寸胴に鳥ガラと豚骨でダシをとって、スープの下地にする。これに自作のカレーペーストを入れて8時間以上煮込んでつくられる。メニュー構成・調理は、移動販売の時からのパートナーである黒川さんの弟・悌地(ていじ)さんが担当する。悌地さんは札幌のスープカレー店で出されているものは全て食べつくしたというほど熱心に研究し、愛情を注いで調理している。


 「やわらかチキンスープカレー」の大きめにカットされた野菜を一口食べるだけで、新鮮で実が詰まっているとわかる。季節によって入れる野菜も変えていて、この日は「雪化粧」という旬のかぼちゃが使われていた。チキンも柔らかくて食べやすく、自作のカレースパイスが食欲を刺激する。ランチタイムだけでなく、夜の酒の肴としても親しまれているという。


 十勝豚丼も圧巻。肉厚の北海道産の豚肉と群馬の黒毛豚肉を合わせて自家製の甘辛いタレで焼き上げており、味はジューシーの一言。十勝豚丼は北海道の開拓時代、高価で手の出ない鰻の代わりに豚を使って「鰻丼」を模したものが起源といわれている。鰻の蒲焼によく似た甘辛いタレの味は、一度食べると病み付きになる。

十勝豚丼は、肉厚な豚肉に甘辛いタレが決め手
十勝豚丼は、肉厚な豚肉に甘辛いタレが決め手

 海の幸も豊富だ。この日頼んだホッケとツボダイも、目を奪われるほどの大きさ。特に、大きなツボダイは希少とのこと。食してみると、脂がよく乗っていて食べ応えもあるので、十分満足感を得られるだろう。

ホッケとツボダイ(手前)。大きいツボダイは希少
ホッケ(奥)とツボダイ(手前)。大きいツボダイは希少

 意欲的に北海道の味を伝えながら、「人の輪」を大切にすることも欠かさない。店に来て、素材が生きた北海道料理を食べれば、黒川さんの話す「北海道の親戚の家に立ち寄る」感じが自然とわかるはずだ。

(山下雄太郎)
年輪

年輪
住所:東京都中央区月島4-3-15
電話番号:03-6204-2666
営業時間:11:00~15:00(ラストオーダー 14:30)
 17:00~24:00(ラストオーダー 23:30)
定休日:日・祝