月島食道楽:月島在市

看板メニューの「ごちゃまぜ焼き」(\3400)。赤身とホルモンが1:3で構成された黒毛和牛の肉を焼くことで、ホルモン焼きとは違った味をつく りあげている

第29回「月島在市」

なかなかお目にかかれない飛騨牛に舌鼓

2013/9/5

 月島食道楽第29回は、塩サーロインなど、なかなかお目にかかれない飛騨牛を使った焼肉料理が、手ごろな値段で楽しめる本格的な焼肉店「月島在市」を紹介する。


 都営地下鉄大江戸線月島駅の10番出口を出てすぐの場所にある中央区立月島区民センター。清澄通りを背にして、この施設の左側に隣接する通りに 入ると月島在市はある。入口付近の木の看板に書かれた「飛騨牛」という文字に引き付けられる。平日はサラリーマン・OLが大半だが、土日になると家族連れやカップルが占める。時間帯によっては店に入ることが全くできなくなるという。


 そんな月島在市一押しのメニューは、45日間の低温保存で熟成させた飛騨牛を使った「塩サーロイン」(150g 1800円)だ。「この金額では、まず東京では食べられない」と店主・盛田一久さんが胸を張る自信の一品。


 注文すると、スタッフの方が肉を軽く炙りながら肉巻き状に形を整え、赤身と脂肪に切り分けてくれる。赤味は塩で、脂身にはすだちを絞って食してみると、質の高い肉がもつ繊細な味が引き出されてくる。

色鮮やかさに目を奪われる「飛騨牛の塩サーロイン」はぜひ食べてほしい1品だ
色鮮やかさに目を奪われる「飛騨牛の塩サーロイン」はぜひ食べてほしい1品だ

 もう1つの看板メニューが「ごちゃまぜ焼き」。赤身とホルモンが1:3で構成された黒毛和牛の肉を焼くことで、ホルモン焼きとは違った味をつくりあげている。盛田さん曰く「この比率が肉を一番おいしく食べることができるバランス」とのこと。秘伝の味噌ベースのタレでもみ込まれており、これらを一緒に焼くことで、肉のおいしさが一層引き立つ。肉自体もホルモンをはじめ驚くほど柔らかく、タレがよくからんでいて食欲を一層刺激する。

ごちゃまぜ焼きは味噌ベースのタレでつけた赤身・ホルモンを焼く月島在市の自信作
ごちゃまぜ焼きは味噌ベースのタレでつけた赤身・ホルモンを焼く月島在市の自信作

 もともと、飛騨牛と盛田さんと関わりのきっかけは東日本大震災。震災時に飲料水の安全が心配された頃、気をもんだ知り合いが飛騨の天然水を送ってくれたことに起因している。「こんなにおいしい水を生み出す地域ならば、そこで生産される食材もおいしいに違いない…」。むかった先は岐阜県飛騨高山。大自然で育まれた飛騨牛に舌を打った盛田さん、この「飛騨牛」に特化したものができないと考え焼肉店の経営を決意したという。


 「焼肉はどうしても原価が高い。仕入れ先で交渉して、クオリティを維持しながら、顧客に手ごろな値段で提供して満足してもらうことを心がけている」(盛田さん)。おいしい肉を安く提供したいという盛田さんの「志」が結実した店なのだ。


 もちろん、新しい試みも忘れてはいない。「土鍋ごはん」は飛騨牛と九条ネギをふんだんに使った新メニュー。調理におよそ40分かかるが、焼肉のあとの〆に頼む人が多いという。


 牛肉の良さを熟知し、うまみを最大限に引き出した料理の提供に余念がない月島在市。やがて月島が“焼肉のメッカ”になる日も、あるいは近いのかもしれない。

(山下雄太郎)
月島在市

月島在市
住所:東京都中央区月島2-14-8
電話番号:03-6228-2738
営業時間:11:45~14:00(ラストオーダー 13:45)
 17:00~翌2:00(ラストオーダー 1:00)
定休日:無休