月島食道楽:牛すじ特集

月島ロックの「牛すじカレー」。赤ワインでゆっくり煮込んだ上質な和牛のすじをふんだんに使い、たっぷりの野菜と合わせた。\850

第23回「牛すじ特集」

月島・佃の新裏グルメに認定!? 牛すじ料理を一挙紹介
2013/1/17

 月島・佃界隈は古い下町。下町らしいグルメがたくさんある。徳川家に献上した魚の余りで作り始めた「佃煮」、駄菓子屋から始まった「もんじゃ焼き」、栄養価の高いレバーを手軽に食べるために始まったと言う「レバーフライ」。そしてこの近辺で示し合わせたように提供されているのが「牛すじ」の料理だ。


 関西ではメジャーな食材である牛すじだが、関東で、しかも月島・佃という1地域で、さらにこれだけ多種の業種の店から出されるのは珍しいのではなかろうか? もんじゃ焼き以外の月島・佃グルメを紹介する「月島食道楽」。第23回では「牛すじ料理」を月島・佃の新しい裏グルメと勝手に認定し、その個性あふれる料理を紹介していく。


 やはり王道は「牛すじ煮込み」か。「焼肉酒家 傳々」では上質な和牛を提供しているが、その中でも特に旨みの詰まった和牛の牛すじをがっつり煮込んで「関西風牛すじ煮込み」として出している。さすが焼肉屋なだけあり、煮込み加減は完璧。プルっとした食感を残しつつ、噛むとスッと切れる。しかも、アツアツの小鍋にどっさり牛すじが入っているため、食べごたえも十分で文句なし。

傳々の「関西風牛すじ煮込み」\600   同じく傳々の「牛すじカレー」\1050
傳々の「関西風牛すじ煮込み」\600   同じく傳々の「牛すじカレー」\1050

 「月島カフェ」の姉妹店「月島ロック」で出している「牛すじカレー」。中々にスパイスの効いた辛めの味付け。牛すじや、よく煮込まれた玉ねぎの甘み、トマトのほのかな酸っぱさが不思議な調和を醸し出して、非常に味わい深く、箸ならぬスプーンが進む。隅田川沿いにある「星時計」でもカレーの日に「牛すじカレー」が出てくることもある。星時計の牛すじカレーは、月島ロックのものに比べると甘口。乗った目玉焼きが郷愁を誘う、王道のカレーだ。ほかにも先ほど名前が挙がった傳々や月島カフェでも「牛すじカレー」を出している。傳々の「牛すじカレー」は、牛すじが溶けてなくなるまで煮込んである。そのため見た目には牛すじはないが、口に含んだ途端すじの香りが広がるという逸品だ。


 「アトリエ・バー・ティン」では「牛すじハヤシ」(\800)を出している。こちらは店長が関西で修行積んでいた際に、様々な種類の酒にあうことに気づいて作り始めたらしい。パンにつけてもご飯にかけてもおいしい「牛すじハヤシ」は、ワインにもウイスキーにもビールでも相性ばっちり。バーならではの料理と言える。


 ほかにも、この界隈の居酒屋などで牛すじ煮込みを提供しているお店は多数ある。是非とも探してみてほしい。


 「煮込む」ことで、おいしくなる牛すじ。実はいろいろな場面で食されていることが解る。そもそもなぜここまで「牛すじ」なのか? 料理を提供している店に話を聞いてみても、それぞれ店が持つ個別の理由ばかりで共通の由来は出てこない。偶然の一致か、あるいは江戸時代から脈々と受け継がれた古き関西の血が、数々の牛すじの料理を提供してくれているのかもしれない。

(井上宇紀)
月島・佃牛すじマップ(クリックすると拡大します)
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