特集 介護のICT導入 その動向は? 地域包括ケアシステムの行方を追う

2014/12/15  1/3ページ

高齢化社会へ、待ったなしの日本。厚生労働省の発表によると、65歳以上の高齢者は、2025年には3657万人となると予測されている。そうした中、ネットワーク、ロボットをはじめ、介護のICT導入が進んでいる。厚生労働省も、東京大学と協力し、地域包括ケアシステムの構築に向けて準備している。その内容とは? 地域目線の重要性とは? その動向を追いかけた。

発展する介護機器・介護ロボット


 以前、特集でも触れたように、介護ロボットの開発が活況を呈している。2014年10月1日~3日にかけて行われた、国際介護機器展では介護に使われる多くの技術が紹介されていた。例えば、ベッドと車いすが分離合体する離床アシストロボット、ベッドからの移乗を助ける移乗アシストロボなどを展示。東京理科大学小林研究室、菊池製作所などが開発した「マッスルスーツ」など腰補助用の装着型ロボットなどが展示されていた。

国際介護機器展には様々な介護ロボットが出展。
多くの参加者で会場は熱気に包まれていた
国際介護機器展には様々な介護ロボットが出展。
多くの参加者で会場は熱気に包まれていた

 これらの他に介護施設を巡回し、異常があった場合に通知するロボットも紹介されていた。岐阜県各務原市にある地場の企業、ブイ・アール・テクノセンターなどが開発する見守りロボットもその1つだ。


 国内で増加している認知症。2012年時点の認知症高齢者は軽度の症状の患者を含めると約462万人。さらに予備軍とされる障害を持つ人も約400万人もいると推定されている。認知症患者の症状として懸念される徘徊は大きな懸念要素となっている。見守りロボットは、こうした認知症患者などの徘徊などを防ぐことが期待されている。


ブイ・アール・テクノセンターの見守りロボット
(提供:ブイ・アール・テクノセンター)
ブイ・アール・テクノセンターの見守りロボット(提供:ブイ・アール・テクノセンター)

 株式会社ブイ・アール・テクノセンターらの開発した見守りロボットは介護施設において、夜間の自動巡回を支援するロボットだ。巡回中にサービスステーションの管理端末や携帯端末へ通知し、ロボットを介してその場の映像をリアルタイムにモニタリング。徘徊者へ声掛けや通話ができるというものだ。


 同社は10年前にサービスロボット分野の研究開発に着手。屋内向けの自立走行や遠隔走行が可能な移動ロボットの開発を行ってきた。そして2009年に介護向けロボットの応用技術開発の着手にこぎつけた。現在は複数施設で社内実験を用いた機能試験を行っている段階だ。


 この見守りロボットは将来的にインターネット回線による外部介護支援サービスを狙っているとのこと。価格はリースレンタルで月額1~2万円を目指す方針。今後は夜間勤務の介護者を補う安心・安全なサービスを技術提供していく目標だ。


地域包括ケアシステムの重要性


 こうした介護ロボットに注目が集まる一方、ITを活用したネットワークインフラを設けることで、充実したケアを目指していこうという取り組みが行われている。


 厚生労働省が推進している「地域包括ケアシステム」は、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供することを視野に入れたものだ。団塊の世代が75歳以上となる2025年の構築が目標。重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしができるようにすることを視野に入れている。


 日本では今後、人口が横ばいで75歳以上が急増する大都市、あるいは75歳以上の人口増加は穏やかだが人口が減少する都市が存在するようになり、大きな地域差ができる。また前述した認知症の高齢者の増加も大きな懸念材料となる。そのため、地域包括ケアシステムは、市町村や都道府県が地域の主体性に応じてつくることが望ましいとされている。


 ただそのためには、診療所や介護サービス事業者など、様々な主体が必要な情報連携を行っていかなければならない。しかし、現在は異なる情報インフラを利用している機関や事業所間では情報共有ができない状態だ。

>>厚生労働省が築く地域包括ケアシステムとは?


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