特集 どこまでつながる?
M2Mの未来
加速するビッグデータの活用

2014/9/4  1/3ページ

機械と機械を通信でつなぐ、M2M(Machine to Machine)。様々な分野でサービスの提供が進むこの技術の開発はどれほど進んでおり、どのように活用されているか? M2Mによって収集される「ビッグデータ」はどう活かされているのか? 総務省や大学教授に話を伺った。 

伸びるM2M市場


 M2Mとは、人が介在せずに、ネットワークにつながれた機器同士が相互に情報交換を行う通信技術のことを指す。いま、自動販売機、エレベーター、プラント設備など、様々な機器でM2Mへの対応が進んでいる。


 このM2Mは「モノのインターネット化(IoT)」に所属する言葉だ。パソコン、携帯電話だけでなく、ネットワークに接続された機器であるモノが、相互に情報を交換しあうという環境の構築が進んでいる。


 矢野経済研究所予測(2014年3月発表)によると、M2M市場は2010年以降大きく伸長。2015年頃に先進国から新興国にシフトしていくと発表。さらに対応機器や端末の低価格化・普及を背景に進展するとし、2020年度の市場規模は世界で3兆8100億円に達し、国内では2500億円になると予想されている。

M2M世界市場規模予測 
出典:矢野経済研究所(クリックすると拡大します)
M2M世界市場規模予測  出典:矢野経済研究所(クリックすると拡大します)

 実際に、展示会でもその動きがわかるほどになってきている。2014年6月に行われた「ワイヤレスジャパン2014」。様々な機器がM2Mを通じて通信が行われることがわかる展示・講演が行われていた。

ワイヤレスジャパン2014の様子
ワイヤレスジャパン2014の様子

 自動車の車載器などの計測器を製造する矢崎エナジーシステムは運転時の「ヒヤリハット*1」など、車の運行時の情報を日ごろから記録するセンサーを内蔵したデジタルタコグラフ(車載器)を開発。企業はこれを持ち帰り、「運行エリアにどのような『ヒヤリハット』があるのか」という情報を収集・解析することで、独自のハザード情報を生成できるという。


 一方、JR貨物はGPSを使い、貨物列車の位置情報を取得。その情報がサーバを介して、駅事務所に配信される。これを活用することで「列車がどこを走るのか」という情報をリアルタイムに把握するシステムを紹介していた。

 

歴史と広がるM2Mの普及


 ところで、「M2M」という言葉と同様に「モノのインターネット」という言葉も昨今よく聞かれる。これらの関係・歴史について総務省通信規格課課長補佐 中谷純之氏に伺った。


 M2Mに類似する概念として、ゼロックス社のパロ・アルト研究所のマーク・ワイザー博士が1988年に提唱した「ユビキタス・コンピューティング」がある。博士は、日常的な物の中に入り込んだ見えないコンピュータが、我々の生活を支える未来を到来すると予測した。「人間は生きていく上で、様々な雑務をこなさなければならないが、コンピュータの支援により、本当に大切なことに時間、労力、お金を割くことができる。そんな理想的な社会像が25年も前に示されていた」(中谷氏)というわけだ。


 なお、インターネットやモバイルが爆発的に普及した2000年代までは、人が介在した「ユビキタス・ネットワーク」(いつでも・どこでも・誰でも、身近な端末で容易に、または意識せずに、状況に応じて最適な情報通信サービスが利用できる社会の実現)に対して、産学官が資源を投入してきた。これに対し、「諸説あるが、『モノのインターネット』は、『ユビキタス』に加え、人を介さず機器同士が相互に行う『M2M』も包含する概念。これまでやや手薄だった『M2M』に、社会的要請に後れを取らない形で、国としても取り組んでいる」と中谷氏は指摘する。


 マーク・ワイザー博士が「ユビキタス・コンピューティング」の考えを提唱した当時は、技術がまだ追いついてきていなかった。しかし端末の性能や通信速度・環境が徐々に充実し始め、「モノのインターネット化」が進むようになる。そして人がネットワークの存在を意識することなく、いつでもどこでも端末・コンテンツを自在に利用できる社会に近づいてきたというわけだ。


 日本国内でも様々な大手企業がこの「モノのインターネット化」に着目。ショベルカーなど建設機械(建機)を開発するコマツは1998年から、このM2Mを利用したシステム「KOMTRAX*2」の車両搭載を開始している。これは建設機械にGPSやセンサーを取り付け、携帯電話や通信衛星経由で、建機の所在地や稼働状況をなどのデータをサーバに収集するといったもの。これを分析することで、機械の点検や部品交換などに必要な最適時期を割り出すなど、保守運用サービスが向上。さらに建機の盗難防止にもつながるというメリットを生み出せた。


 こうした建機だけでなく、医療機器や自動車、農業機械、そして太陽光パネルなど様々な製品をM2Mに対応させることで、データを収集し、それをビジネスに活かしていくことに企業は取り組むようになる。

>>総務省が取り組む研究開発とは


RPAツール・AIHH

【関連カテゴリ】

トレンドその他