特集 記録メディアの歴史・分類
発生、現在、これからの技術

2014/7/24  3/3ページ

光ディスク第2世代DVDからBDまで


 DVDはDigital Versatile Discの略で、直訳すると「デジタル多目的ディスク」になる。初期は高画質の映像を長時間記録できるDigital「Video」Discとして開発されたが、目的が多岐にわたるため現在ではDigital Versatile Discの略として説明される。


 基本的な技術はCDとほぼ同じだが、密度が異なることと、何よりもデータが2層にわけて保存できる技術が大きく異なる。CDは、光ディスクの表面にデータを書き込んでいく。DVDは表面層の下に、もう1層データの書き込みを行う2層構造が可能になっている。


 2層目へ読み取る光を当てる都合により、1層目は若干データが薄くなること、また2層目を読み取るための専用の装置が必要などのハードルはあるが、単純に2枚分の記憶領域を確保できるため2倍に近いデータ容量を得ることができる。さらに裏面へ書き込めるタイプだと最高17GBの容量を誇る。


 BDはCDを第1世代、DVDを第2世代と数えたときに第3世代に相当する光ディスクの技術だ。文字通り青紫の半導体レーザーを用いることでDVDをはるかに上回る容量を実現した。BD1枚でフルハイビジョンの映像を2時間以上録画できるため、高画質の映画の普及に一役買っている。1面1層で25GB、2層ならば50GBの記録ができる。


半導体記憶装置の歴史


 近年、急速に利用されるシーンが広がっている記憶装置が半導体メモリだ。USB (Universal Serial Bus)メモリや、フラッシュメモリ、SDカードなどに使われている文字通り半導体にデータを保存するメモリのことを指す。磁気ディスクや光ディスクは前述の通り、物理的にディスクを回転させてデータを読み込んでいるため、どうしても物理的にディスクを回転させる距離が必要になってくる。半導体素子による記憶技術は、こうした限界を超えて高速で情報にアクセスできる技術だ。

半導体メモリをケースに収めたSDカードなどは多岐にわたって利用されている
半導体メモリをケースに収めたSDカードなどは多岐にわたって利用されている

 初期の半導体による記憶装置と言えば、PCに積まれるメインメモリが古くから利用されている。メインメモリはいわゆるPCが計算処理をする際の作業領域であり、電源が入っていないときには記録がされない「揮発性」の記憶装置だ。2000年代に入ると電源を切ってもデータが消えない「不揮発性」の半導体メモリが広がり、主要な記憶装置として利用されるようになった。


 半導体メモリの最大の特長は、USBに始まる読み込みに必要なコネクタや記憶装置そのものの小ささにある。光ディスクや磁気ディスクなどは読み込みに専用のドライブが必要だが、USBメモリに至っては汎用的な、規格化されたコネクタ1つでデータ交換ができるため、非常に手軽だ。USBは1996年に1.0が規格化され、2000年に2.0、2008年に3.0が規格化されている。規格が進むにつれ、アクセス速度は上がっていき、3.0では理論値5Gbpsほどになっている。


 HDDのように回転を必要としないことから、特にランダムでの書き込み、読み込みに性能を発揮して、状況によっては数倍の速度になる。こうした回転機構が不要な点は、ほかにも省電力・低騒音につながっており、ノートパソコンなど、リソースが限られる状況で性能を発揮する。


 値段あたりの容量がほかの外部メディアに比べて高価だが、近年量産されるにあたりコストダウンを果たし、おおよそではあるが、SDカードは1GB60円程度、USBメモリで1GBあたり80円程度になっている。コストダウンの結果、こうした半導体を用いた内蔵用の記憶装置が誕生。SSD(Solid State Drive)と呼ばれ、HDDの代替手段として注目を浴びている。


 半導体メモリによる記憶は電子の状態をスイッチングすることで電流が流れる/流れないという状態をデジタルデータとして記憶している。この構造には書き換えの限度があり、半導体メモリの最大の弱点ともなっている。


記憶装置の新技術


 少し未来の話になる。


 磁気ディスクの原理については説明済みだが、表面に塗布された磁性体はすなわち小さな磁石が無数に並んでいる状態と言える。現在、最新技術においてこの磁石のサイズは30nm(ナノメートル=10億分の1メートル)だと言う。すでにかなりのサイズだが、これを極限まで小さく…1nm…原子1つサイズまで落とし込む研究が千葉大学准教授の山田豊和氏を中心に進められている。

千葉大学、山田豊和准教授の研究室にある「走査型トンネル顕微鏡」。
原子サイズのものを観測できる
千葉大学、山田豊和准教授の研究室にある「走査型トンネル顕微鏡」。 原子サイズのものを観測できる

 原子1つに情報を持たせることができるのだから、磁気ディスクの極限と言っても過言ではない。このサイズで作られた鉄磁石は、電流を流した電磁石の磁力に依らず、電圧を直接磁石にかけるだけで制御ができるため、電力ロスが極端に少ない。もちろん磁石のサイズが小さいため同じ面積あたりの情報密度もかなり高くなる。こうした技術を応用したHDDは、制御に関する消費電力は1000分の1、容量に関して100倍は下らないという。


 わずか1000ワードの容量から始まった記憶装置。しかし、こうして連綿と続けられる研究・開発によって、我々は日々性能が更新されて行くPCを手にすることができるのだ。

(井上宇紀)

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