特集 スマホと飛行機のふしぎな関係
「禁止」から「解禁」の行程

2014/6/30  2/3ページ

飛行機で電子機器を使うと?


 2003年の電子機器利用の全面禁止は、乗務員への迷惑行為やトイレでの喫煙など「機内での安全阻害行為」の1つに挙げられたものだ。ただ、禁止の本音は「電子機器の利用でどんなことが起こるか分からない」(国交省関係者)からだったという。


 電波関連のトラブルが飛行機内で起こった時に面倒なのは「再現性」がないことだ。トラブルの原因を突き止めるには、乗客・乗員が「どんな電子機器を持っていたか」「トラブル発生時にどのような操作をしていたか」「飛行機の搭載機器はどんな状態だったのか」などを知る必要がある。しかし、これらをきちんと再現するのはほぼ不可能だ。


 それでは、仮に携帯電話などの利用で発生の可能性があるトラブルにはどんなものがあるのだろうか? 国交省関係者は「VHFは、管制官が機長と会話をするための航空無線です。このやり取りにノイズなどの影響が出る恐れがあります」という。

着陸時の無線誘導に影響する可能性も
着陸時の無線誘導に影響する可能性も

 他にも、ラジコンやワイヤレスマイクの発する電波が、着陸時の無線誘導を行うLOC(ローカライザ)に影響を与えることも「理論上あり得る」(国交省関係者)のだという。ただ、飛行機が滑走路に近づくにつれてLOCの電波が強力になってくるので、ほとんど影響を受けないというのが実情だ。


電子航法研究所の実験


 搭載機材にどのような影響を与えるか分からないから「禁止」にされていた、というのがこれまでの飛行機であった。ただ、普及が進む携帯電話やPCの利用ニーズは増えてくる中で、航空業界でも調査が進められてきた。


 2011年2月、飛行機に関する様々な電子機器の調査・研究を行っている電子航法研究所が、座席数74席の小型プロペラ機から、565席の大型ジャンボまで6機種について、携帯電話を含む様々な電子機器で実測調査を行った。


 電子航法研究所の資料によると、携帯電話などの電波が飛行機の無線に影響を与える経路は3つある。1つ目は飛行機のアンテナを経由して無線機器に侵入するルート。2つ目はケーブルを経由したもの、3つ目が機器に直接接続するルートだ。


 結果は、よほど本格的な無線機が使われない限り、全てOK。携帯電話については、飛行機の搭載機器との距離が2G回線で約1m、3G回線で0.5m以上離れれば問題ないことが判明した。乗客がコックピットに入ったり、飛行機の天井付近までスマートフォンを近付けたりすることはまずない。また、携帯電話・スマートフォンの電波は、発信時に強い電波を出すが、実験では複数の携帯電話が同時に発信しても、影響は1台分と変わらない結果が出たという。


 電子航法研究所の調査では「金属製の胴体を持つ航空機では機体構造によってある程度の電波遮蔽効果が得られている」と述べている。要するにほとんどの機体でスマートフォンを利用しても問題ない、ということである。


スマホ利用解除を促したFAAの方針


 こうした実験が行われ、徐々に利用緩和の動きが出てくるようになった。禁止緩和に大きく動いたきっかけは、2013年11月1日(日本時間)にFAA(米国連邦航空局)が出した方針だ。


 これによると、3Gや4G回線につながれていない「機内モード」であれば、スマートフォンなどの電子機器が利用できるようになる。機内でWi-Fiサービスを行っている場合は、それを利用することも可能になった。


 その20日後、音声通話を管轄するFCC(米国連邦通信委員会)が、飛行機内での音声通話もできるように検討する、と発表した。

>>充実してきた機内Wi-Fi

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