特集 スマホと飛行機のふしぎな関係
「禁止」から「解禁」の行程

2014/6/30  1/3ページ

「全ての電子機器類の電源をお切りください」という機内アナウンスも、これからは変わるかもしれない。

 2014年の夏から、飛行機の中でスマートフォンやタブレットPCなどが常時利用可能になる。航空各社も、同じタイミングで機内無線LANサービスを国内線に導入しており、飛行機でのデジタルデバイス利用が一層進みそうだ。

 これまで制限されていた飛行機でのスマートフォン利用が緩和されてきたのはなぜか。経緯を追った。

今夏から機内のスマホ利用が可能になる
今夏から機内のスマホ利用が可能になる

飛行機が「飛べる」基準


 私たちの乗る飛行機(旅客機)は、機種ごとに発行される「型式(かたしき)証明」と、個別の機体に発行される「耐空証明」があって、初めて運航できる。


 飛行機が搭載している電子機器のうち、無線(電波)を利用する主なものは地上の管制官や飛行機同士での交信を行う航空無線、空中衝突防止装置、着陸時に飛行機を誘導するILS(Instrument Landing System、計器着陸システム)などがある。

飛行機で利用される主な無線機器
スマホなどの電波が影響するとされる機器(電子航法研究所の資料を元に弊社作成)

 これらの機器は、様々な規制をクリアしないと飛行機に搭載できない。「型式証明」を得るには、搭載している電子機器の電波が、強電界(電波の強い環境)で誤作動が起こらないか、また、スマホやタブレットなどの電子機器が電源をつけているだけで発する微弱な電波(不要放射)が抑制されているか、などを証明する必要がある。


 温度や気圧などの様々な条件下でも動くことが求められる。RTCA(米国航空無線技術委員会)の「DO-160」というドキュメントで定められた環境試験が義務付けられている。


 機内の電子機器と、飛行機の搭乗客が持ち込む電子機器が電波干渉などを起こさないかどうかは、1980年代から調査が行われてきた。本格的に規制が検討され始めたのは、携帯電話が急速に普及し始めた1990年代だ。その後、2003年に国土交通省は携帯電話やトランシーバーなど、電子機器の利用を全面的に禁止した。


スマホと飛行機の距離感


 ここで、電子機器から出ている電波についておさらいしておこう。


 スマホやタブレット、携帯ゲーム機などの電子機器は、「不要放射」を発している。電波を出す機能の有無にかかわらず、電源を入れた途端に発生するものだ。


 また、電波を発する機器についても、特定の周波数しか使わない機器であっても、他の周波数にも影響を及ぼしている。「仮に、50MHzの周波数を使うトランシーバーがあったとしましょう。このトランシーバーを使うと、50MHz帯だけでなく、100MHz帯にも電波を発するのです。100MHz帯には(航空で使っている無線)VHF帯も絡んできます。ですから、影響する可能性が否定できないのです」(国交省関係者)。


 電波干渉は飛行機の大きさも、かかわってくる。「(アンテナと電子機器が)離れるほど電波は減衰しますから、影響が低くなります」(国交省関係者)とのこと。飛行機が通信を行う際のアンテナは、機体上部などに付いている。このアンテナと乗客の持つ電子機器の距離は、総2階建てのジャンボジェットと70席程度のプロペラ機では、当然違ってくる。

>>飛行機でスマートフォンを使うとどうなる?


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