特集 普及を目指す介護ロボット
高齢化社会日本が誇る有望な技術

2014/5/29  1/3ページ

高齢化社会のなか期待される介護ロボット。2020年度には349億円までに拡大するという推測もあるなかで、普及に向けた取り組みはどうなっているのだろうか? 経済産業省や産総研、メーカー、大学教授などに話を伺った。

経産省が進める研究開発


 高齢化。日本が抱えている大きな問題だ。厚生労働省の発表によると、2010年から2025年までの15年間で65歳以上の高齢者が約730万人増加する。また総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)も23%から30%に上昇する見込みだ。

日本の高齢者人口と高齢化比率(出典:厚生労働省)
日本の高齢者人口と高齢化比率(出典:厚生労働省)

 介護職員の数も2010年の150万人から、2025年には240万人が必要だとされている。また、介護者の7割が腰痛を抱えているという課題もあり、様々な現状を打破するための早急な対応が求められている。


 こうしたなか、介護者の労働を助ける役割として活躍が期待されているのがロボット介護機器(以下:介護ロボット)だ。介護ロボットは生活支援ロボットに属し、お年寄りや体の不自由な人の支援を行うロボットを指す。シンクタンクの矢野経済研究所は、国内における介護ロボットの市場規模について、現状では市場規模は小さい(2012年度は1億7000万円)ものの、2020年度には349億8000万円に急拡大すると予想している。


 市場の急拡大を予想している理由は、高齢化社会を視野に入れた政府の対応が本格化してきたことも1つだろう。経済産業省は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や産業技術総合研究所(産総研)などと協力して、2009年度から「生活支援ロボット実用化プロジェクト」を実施。動作に関するデータの収集や分析、安全性技術に関する研究・開発を進めている。


 プロジェクトで得られた安全性に関する研究の結果をISO(国際標準化機構)に提案した結果、2014年2月に国際規格「ISO13482」として採用された。


導入促進事業と自治体の取り組み


 介護ロボット普及への取り組みも本格的になってきた。経済産業省は「ロボット介護機器開発5か年計画」を2014年度から実施している。これは介護ロボットの普及に向けて「安価」で「利便性の高い」製品をめざす開発企業を募り、コンテスト方式で選考。市場への普及をサポートしていこうというものだ。


 具体的には「ロボット介護機器・導入促進事業」として25.5億円を準備。高齢者の自立支援や介護実施者の負担軽減に使う介護ロボットの開発・介護現場への導入に必要な基準作成などを行う。


 また量産化への道筋をつけるため、製造事業者・仲介者(レンタル業者など)・介護施設がチームを組むことで検証を実施する。この「導入実証事業」は2013年度の補正予算で20.5億円も準備されている。


 介護ロボットについても重点分野(移乗支援「装着型」、移乗支援「非装着型」、移動支援、排せつ支援、見守り)を設け、安全面などを審査して企業を選定。2013年には42社が開発補助企業として選ばれている。


 介護ロボットの開発を支援していくのが経済産業省の役割である一方、現場のニーズの吸い上げや、介護現場におけるモニター調査が厚生労働省の役目。両省が協力して開発現場と介護現場の意見交換を行っていく


 一方、政府だけでなく、地方自治体でも介護ロボットに関する取り組みが行われている。神奈川県では2010年度から「介護ロボット推進普及事業」を展開。県が介護ロボットを独自に選定して介護施設や病院に試験的に導入し、その有用性を確かめるといったもの。また他の施設の関係者に見学してもらうことで、機器の導入を検討してもらおうというものだ。

>>ロボットスーツHALの取り組みとは


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