特集 節電? 環境対策? スマートグリッドの今 全国自治体で進む動きを追う

2014/4/17  2/3ページ

横浜市での取り組み


 先進的で近代的な街並みがターミナル駅から海まで続く横浜市。街の見た目にたがわず、スマートグリッドにおいても先進的な自治体だ。横浜市が、スマートグリッドを核にしたスマートシティに関するプロジェクト(Yokohama Smart City Project、YSCP)を推進し始めたのは、震災以前の2010年度に「次世代エネルギー・社会システム実証地域」の1つに選定されたところから始まる。

経産省推進のスマートシティ実証地域
4つの地域によってスマートグリッドの導入事例も異なる(経済産業省の資料を元に作成

 2009年に鳩山総理がぶち上げた国際公約「25%削減」は、2011年の原発事故により、現在では撤回されている。しかし当時、経済産業省が始めた二酸化炭素排出を減らすための再生可能エネルギーの推進事業は、震災後の省エネ・防災を見越した安定的なエネルギー供給などとして若干その色を変えながら、現在も着実に進められている。


 横浜市のスマートグリッド事業は、恐らく国内では最大規模。立ち並ぶオフィスビルのBEMS化や、EVをコアとした自動車開発、バッテリー開発との連携事業、4000世帯にも及ぶ一般家庭のHEMS化と、まさにスマート「シティ」と呼ぶにふさわしい規模になっている。BEMSとはBuilding Energy Management Systemの略、HEMSとはHome Energy Management Systemで、それぞれ省エネに最適化するためのスマートメーターや太陽強発電施設などを備えたビルや家を指す。

スマートシティ・スマートコミュニティとスマートグリッド
事業としても震災後はグリッドの方に傾いているように思える

 多数ある実証試験の中でも特に4000世帯に及ぶHEMSの規模は桁違いで、その分、実証実験のデータサンプル収集も進んでいるようだ。


 ピーク時に、電力消費の拡大を抑えるための取り組みを「デマンドレスポンス」と言う。横浜市では「ピーク時の電力価格割増」「非ピーク時の価格値下げ」「事業ビルなどにおいての節電分をインセンティブとして支払う」というデマンドレスポンスの方策を打ち出している。割増価格を世帯によって変えたり、インセンティブ価格の差異を作ったり、実証試験を重ねて適切な料金設定を探っているようだ。


 例えば、夏場に気温が30度を超えるような「電力消費のピーク」が発生する際にBEMSで節電した分を支払うインセンティブについて5円/kWh、15円/kWh、50円/kWhと差をつけた3パターンで試験を行った。価格が高いほど節電効果が高いと思われるが、実際のところ15円と50円ではほとんど電力削減率に差がなかったという。

実証実験に参加しているビルのひとつ、横浜三井ビルディング
実証実験に参加しているビルのひとつ、横浜三井ビルディング

 家庭においても、ピーク時の電力価格を割高にして、深夜から早朝などを割安にするデマンドレスポンスを実施。デマンドレスポンスを行わないグループと比べて、ピーク時の削減率は高まったが、ピーク前や早朝までの割安時間帯に電力消費が高まることがわかった。こうして収集した節電に関するデータは、今後の対策や方針を決めていく際にも重要なデータとなっていく


 スマートメーターを軸にした節電だけでなく、横浜市は、電気自動車(EV)や環境配慮型の自動車との連携も進められている。EVは、もともとスマートハウスなどにおけるバッテリー源として利用されている。さらに自動車関連の情報とHEMSを連携させ、家庭内のバッテリーや太陽光発電をバランスよく使うことで、個人レベルでの蓄エネ・創エネ・省エネを総合的に行うという。またYSCPとは別の実証実験として環境対策が施された新しい規格の自動車「超小型モビリティ」の取り組みなども進めており、EV事業の展開は目が離せない。

>>震災後のスマートグリッドは?

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