特集 「巨大スマホ」化するクルマ(3) デジタル化、自動車OS… 車の未来はどこに

2014/3/24  3/3ページ

気になるセキュリティは…


 カーナビに音楽、そしてメーター…。かなり入り組んだ話になってきたが、まずは自動車とスマホの関係はどうなるのか。「スマートフォンとの親和性が備わった高級車と、スマートフォンの機能を取り込む大衆車に分かれる」と冨岡氏は言う。どちらにしても、自動車開発は「車内の様々な機器を接続する」というトレンドになっている。ならば、統一されたプラットフォームがあれば便利である。


 2014年1月にホンダ、アウディ、GM、現代自動車とGoogleが、「自動車のAndroid化」を目指す団体を発足させた。「自動車OS」の話題も出てくるのは自然な流れだろう。


 共通化されたOSで、スマートフォンへスピード情報が提供され、車載ディスプレイに表示される――。これまでスタンドアロンだった自動車の制御システムやCAN(Car Area Network:車載ネットワーク)が、インターネットと接続されてくるとなれば、セキュリティも当然課題に挙がってくる。


 しかし、カーナビメーカーから、組み込みソフトウェアメーカーに対しては「セキュリティに対する要望は出ていない」という。「スタックスネット」のように、自動車のシステムを破壊するマルウェアが現状ではまだ出てこないのもあるのだろう。


 ただ、油断は禁物である。IPAでも自動車メーカーに対するセキュリティ対策を製品の企画段階から廃棄までの色々な場面におけるセキュリティ取組みレベルを設定したガイドを発行している。始まったばかりの自動車OSだが、宿題は早めに済ませておくにこしたことはないだろう。


組み込み技術者のあり方と、自動車の未来


 組み込みソフトを開発する技術者も、対応に追われている。「これまでは『ちゃんと動くか』というのがテストの中心でしたが、今は『ちゃんとつながるか』がメインです」と冨岡氏は語る。


 組み込みソフトのエンジニアに求められるスキルも変化している。ICチップの構造を把握し、それに適したソフトを開発するなど、ハードも詳しいエンジニアだが、アプリケーションベースの開発になると、ハードの仕様はほとんど気にしない。


 また、自動車OSが本格的に始動すると、アップデート対応もばかにならない。10年単位の開発スパンだったフローの見直しも必要だろう。組み込みソフトとアプリケーション、この開発ギャップを埋めていくところが車載システムにかかわる業界の課題だ。

自動車開発はどこに向かうのか
自動車開発はどこに向かうのか

 インターネットの荒波に放り込まれた自動車システム。「ハードではなく、ソフトウェアが主役」という現状は、図らずもAppleが構築したiPhoneの構図と一緒ではないだろうか。自社で生産ラインを持たず、部品の製造から組み立てまでを世界中の工場に委託し、マーケットを支配する――。


 スマートフォンに限れば、日本で世界に太刀打ちできるメーカーは皆無である。果たしてこの構図が自動車にも当てはまるのだろうか。自動車OSで笑うのは、果たしてOSメーカーか、はたまた自動車メーカーなのか…。まだまだ先が見えない。

(中西 啓)

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