特集 「巨大スマホ」化するクルマ(1) デジタル化、自動車OS… 車の未来はどこに

2014/3/24  1/3ページ

2013年3月に「NHKスペシャル」で「震災ビッグデータ」が放送された。このなかで、自動車メーカーがカーナビから収集したデータで、東日本大震災時の自動車走行データが光の点と線で表現された。

 アクセル・ブレーキ等の制御システムを始め、自動車の大部分は電子制御されている。さらに近年はネットワークに接続することによって、「巨大スマホ」化してきた感がある。今回は車載システムの歴史と現状、そして未来を追ってみたい。

「クルマのデジタル化」は時代とともに

EV(電気自動車)はほぼ「ソフトウェア」で動いている(リテールテック2014より)
EV(電気自動車)はほぼ「ソフトウェア」で動いている(リテールテック2014より)

 米国でT型フォードが発売されて100年以上が経過した現在、純粋な機械制御の自動車は皆無である。情報処理推進機構(IPA)の報告書「IPAテクニカルウォッチ」によれば、自動車製造コストに占める車載システムの割合は、

・エンジン車30%
・ハイブリッド車50%
・EV(電気自動車)70%

となっており、EVはほとんどが電子制御のための部品で構成されているといっていい。こうした「クルマのデジタル化」は、世間のデジタル化と同じペースで行われてきた。「様々なクルマの制御が、機械化から電気化、そして電子化という流れをたどってきました」と語るのは、車載機器の組み込みソフトウェア開発会社・ユークエストの冨岡 理氏だ。


 自動車のウィンドウ1つとっても、80年代まではハンドルを手動で巻き上げていたものが電気スイッチのモーターで動く「パワーウィンドウ」が主流になる。その後、スイッチ部分とモーター部分にそれぞれ制御チップが埋め込まれ、「電子化」された。手や指などが挟まると可動が制御されるようになったのは、電子化によるものである。


 他にもエンジンの燃料調整、ブレーキ機能でのABS(アンチブレーキロックシステム)、ギアの電子制御など、電子化は自動車のあらゆる部分で進んだ。「ここ30年くらいかけて電子化された」(冨岡氏)自動車の主役は、間違いなく「ソフトウェア」なのだ。

 

クルマのデジタル化と「情報化」


 制御系がデジタル化する一方で、カーナビやオーディオなど、制御以外のシステムも発展してきた。自動車の操作そのものと離れた部分で、「インフォテインメント」とも呼ばれている。


 制御系・非制御系を含め、自動車に組み込まれた機器の電子制御を行ってきたのは、組み込みソフトウェア(以下、組み込みソフト)である。冨岡氏によると、組み込みソフトに最近多くなってきたのは「USBのインターフェースがほしい」「無線LANがほしい」という要望だ。


 これまでになかった依頼だが、その理由は取りも直さずスマートフォンだ。「スマホがどれだけ快適につながるか」というのが、目下車載システムのトレンドなのである。


 「つなげる意味として『音楽などのプライベートコンテンツを楽しむ』ものと、『カーナビがインターネットとつながるためのモデム機能』という2つの要素があります」(冨岡氏)。


 トヨタ自動車のG-BOOKや、本田技研工業のインターナビなど、自動車に通信モジュールを搭載したシステムはすでに存在する。インターネットから道路情報の更新の他、CDタイトルの取得やBluetoothでのスマートフォン接続などの機能も提供している。ナビ画面にスマートフォンに入っている音楽の再生操作や音楽情報を表示させるという機能もある。


 トヨタ自動車が世界的に販売している高級車・レクサスは、通信モジュールが全車種に標準装備されている。「クルマとスマホ」の関係で言えば、スマホに「モデム機能」を求めるのは過渡的なもの、というのが実態だ。

>>通信機器を標準搭載した「巨大スマホ」は?


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