ウェアラブルは本当に「ポスト・スマホ」? 2013年のスマホ・バズワード

2013/12/16  3/3ページ

20年前から言われ続ける「ウェアラブル」


 さて、スマートフォンはもはや「身につけるPC」となっているが、これのさらに上を行く端末としてもてはやされたのが「ウェアラブルデバイス」だ。

ソニーのスマートウォッチ2(同社サイトより)
ソニーのスマートウォッチ2(同社サイトより)

 スマートウォッチ(多機能腕時計)の販売はすでに始まっている。サムスンから「ギャラクシーギア」が、ソニーからは「スマートウォッチ2」が発売されている。Bluetoothで手持ちのスマホと連動し、メールや電話などが確認できるというもの。だが、外見を見る限り「開発途上」といった具合で、ブラッシュアップが期待される。


 他にも、プライバシーやドライブ中の装着問題で、何かと取り上げられる機会が多かった「Googleグラス」は2014年に発売される公算だ。Appleも2013年7月に「iWatch」という名称を商標登録申請し、どのようなデバイスを発売するか話題になっている。


 実は「ウェアラブルデバイス」という言葉、かなり前から出てきている。17年前の1996年に、PHS事業者だったNTTパーソナル通信網の川内武社長(当時)がすでに言及している。


 「電話はいずれ『電話をするための特別なツール』ではなくなってしまい、『常日ごろ、身に着けている習慣の一つ』というところまで昇華していくだろうと思います。アメリカではウェアラブル(wearable)というコンセプトを打ち出していますが。」(毎日新聞、1996年8月20日付夕刊)


 スマホが席巻している今日からすると、卓見している。

NICTの19コア光ファイバー展示。通信容量増大にどう対応するか
NICTの19コア光ファイバー展示。通信容量増大にどう対応するか

トラフィック激増、どうなる「M2M」


 もちろんウェアラブルデバイスは人間が操作するのだが、デバイス同士も通信を行うような時代は近い。「M2M(Machine to Machine)」は機器間の通信、特に人間の介在しない機器間の通信のことを指す。機械がセンサーなどにより状況を自動的に判断して、状況に応じた通信をする。


 すでにスマホの普及で、トラフィックは急激に増えている。Ciscoは、2017年には1ヶ月のトラフィックが現在の10倍近い、11.2EB(エクサバイト)になると予測している。しかし、既存の有線ケーブルは1本のケーブル内に1本の光ファイバーが通るのみで、これからの通信負荷に耐えるのは限界といわれている。


 ウェアラブルデバイスを含め、今後も工夫を凝らした「ポスト・スマホ」端末が出てくるとみられる。その際、「スマート」といわれる所以のネットワーク接続がおざなりになってしまっては、元も子もない。


 これについての研究開発は進んでいる。NICTでは1本のケーブルに7本の光ファイバーを通した「7コア」ケーブルで、109Tbps(1Tbps=1000Gbps)の通信をすることに成功している。さらには19コアでの通信試験も行われているという。また、光ファイバーのみならず、仮想化技術によって既存のネットワーク網を有効活用する技術もNICTでは研究されている。


 実際のインフラ網に反映されるには時間がかかると思われるが、トラフィック増加に対するソリューション研究は着実に進められている。


 以上を俯瞰してみると、いずれの言葉も独り歩きしているだけ、とはいえない。ただ、その技術革新にユーザ側がきちんとついて行けているかといえば、疑問符がつく。


 日常生活へデジタルツールが浸透していくスピードは、かつてない早さになってきている。ここ10年だけを見てみても、私たちを取り巻くPC環境はあっという間に変わってきた。今一度、デジタルツールと自分のあり方を見直してみる時期に来ているのかもしれない。

(中西 啓)

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