特集 位置情報活用の現在地 GPSと、その先にある技術の“今の位置”

2013/8/26  1/3ページ

現在多くの人が持っている個人端末…スマートフォンや携帯電話には、当たり前のようにナビゲーション機能が付いている。地図アプリから目的地を入力し、ルートを算出すれば、こちらの情報を入力しなくても勝手に位置を計測してあと何キロ、何メートルあるか割り出してくれる。

 これらの計測に用いられているのが「位置・空間・地理情報」だ。これらの情報はどのようにして計測されているのだろうか? いつ頃から計測され、ほかにどのように利用されているのか? あるいはどのような利用方法が考えられるのか? IT時代に重要度がさらに増していくだろう位置・空間・地理情報について、そして最新技術について調べてみた。

全ての基礎となる地理情報


 位置情報とは、地表面上にある人や物などの位置を、緯度や経度という座標を使ってエリア・居場所を指したものだ。この位置情報について説明する前に、少し位置に関する情報の呼称を整理してみたい。


 例えば、「地理情報」というものがある。いわゆる「地図」のイメージに近いものであり、県の境界や市の境界、等高線、道路や河川・広場などの情報は全て地理情報と呼ばれる。こうした地理情報は、元来ただの紙の図でしかなかった。しかし、1960年代にカナダで、土地資源を管理するシステムとしてGIS(Geographic Information System)が開発されるのが1つの転機になる。


 このGISは日本においても道路や河川などの台帳データ、都市計画図や土地利用図などの主題図(地図)データ、人口や農業などの統計データなどに用いられているものだ。阪神大震災を機に、紙からデータベースへの移行が進められ、現在では国土地理院が25000分の1レベルの地図データを全国レベルで作成・提供している。さらに、国土地理院は地方公共団体と協力して基盤地図情報を作成・提供しているとともに、地方公共団体ではその業務に応じてより詳細な地図データを作成している。


 個々人がいる場所の情報「位置情報」や、細かい建物や中に入っている店舗などにより点に近い情報としての「空間情報」は、こうしたベースとなる「地理情報」の上に乗せられている。


 一方、地理情報は前述の通りIT化される前から地図として存在していた。ITの高度化に伴い、日増しに高度化する位置情報に関するデータの共有や高度な技術開発・普及を目指し、複数の企業や研究機関が参加して設立されたNPO法人「位置情報サービス研究機構(Lisra)」。同団体 の代表理事で、名古屋大学教授の河口信夫氏は「日本で歴史を紐解くと多くの地図が作られてきた。それまでのものと比べて群を抜いて精度が高かったのが江戸時代・元禄~天保の世にかけて伊能忠敬がつくった『大日本沿海輿地全図(伊能図)』だった」と指摘する。

名古屋大学教授 河口信夫氏
名古屋大学教授 河口信夫氏

 伊能忠敬は当時、田畑や宅地を測るのと同様に全国を測っている。例えば、海岸を測るとき、曲線を直線の連続に分けて、曲がり角に梵天(竹の先に数枚の紙を吊るしたもの)を立てながら各直線と距離の方角を測ったという。こうした方法に加えて目印とされたのは、2013年に世界遺産となったことが記憶に新しい富士山だ。富士山は至るところから見える。富士山を見渡すことで測量の結果を見渡すことができるため、位置の情報の正確な計測に役立っていた。こうした位置情報をつなぐことで、全体の地理情報を作製したのだから途方もない作業である。

享保から天保の時代にかけて日本地図を作った
伊能忠敬(千葉県香取市伊能忠敬記念館所蔵)   伊能忠敬が行った測量
享保から天保の時代にかけて日本地図を作った
伊能忠敬(千葉県香取市伊能忠敬記念館所蔵)
  伊能忠敬が行った測量

 こうした天体観測やアナログな作業による地図製作だが、星の位置、太陽の位置、富士山の位置などから計測する非常に手間のかかる作業だった。技術の革新によりこの位置の計測が非常に手軽なものになる。それが空に打ち上げた衛星から位置を測るという「GPS(Global Positioning System)」の登場だ。

>>GPSの歴史と仕組みとは?

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