特集 ネット選挙運動解禁 どうなる参院選
解禁によって変わること 期待されること
2013/7/1  1/3ページ

公職選挙法で厳しく制限されている選挙期間中の「文書図画(とが)の頒布」。この解釈により、候補者は選挙期間中のHPやTwitter、Facebookなどの更新がこれまでできなかった。この「時代遅れ」ともいえる規制が7月の参議院選挙で取り除かれる。選挙プランナーや大学教授に伺いながら、ネット選挙運動解禁における詳細や展望を探った。

一部改正された公職選挙法


 現行の公職選挙法ではこれまで、選挙運動期間中に行われる文書図画の頒布・掲示が規制されてきた。候補者はこの期間にHPやTwitter、Facebookなど更新できず、有権者が候補者の政治姿勢や方針をリアルタイムで知る手段がなかった。


 しかし、2013年7月におこなわれる参議院議員選挙で、インターネットなどを利用した選挙運動が一部解禁されることとなった。候補者は選挙期間中でもHP、ブログ、SNS、YouTubeなどの動画配信サービス等、WEBサイトをつかった選挙運動を行うことができることとなる。


 またメールに関する規制も改訂されている。投票依頼を有権者にメールで送る場合、候補者・政党に限って送ることができるようになった。しかし候補者・政党以外の一般有権者は投票依頼のメールを送ることはできない。これについては、与野党によるせめぎ合いがあった。「自民党・公明党において出された与党法案ではこの制限が設けられていました。他方で民主党などの野党においてはもっと広く一般の有権者にも解禁するべきだという意見がありました。これについては今後の検討事項とされています」(総務省自治行政局選挙部選挙課調査係長の池上真一郎氏)。


ネット選挙運動解禁の背景


 今回の法案にはどういった背景があったのだろうか? 情報セキュリティ大学院大学の湯淺墾道教授は「こうした動きに踏み切るまで、これまでも何回かのタイミングあった」と指摘する。「民主党政権時代にもネット選挙解禁が主要政党の間でいったん合意されたものの、鳩山首相(当時)の突然の退任で法案が成立しなかった。今回成立したのは安倍首相のリーダーシップによるところが大きい」と話している。

情報セキュリティ大学院大学教授
湯淺墾道氏
情報セキュリティ大学院大学教授 湯淺墾道氏

 また、海外の動向も大きな後押しとなっている。米国や韓国ではネット選挙運動がすでに行われている。韓国はネット選挙運動が全面的に解禁になったのは2012年からだが、実質的にはもっと以前からネットは選挙に密接に関わってきた。2002年の大統領選時、廬武鉉(ノ・ムヒョン)氏は泡沫候補(当選する見込みが低い候補者)にすぎなかったが、ネット上で応援団ができると多くの支持層を集め、一躍有力候補になった。地盤も地域的な支持層もない候補が大統領になれたのはネットによる力が大きい。


 米国でもオバマ政権が誕生する際、草の根的に個別訪問をおこない、ネットによる小口献金を広く市民に訴えかけて選挙資金を収集したことが一因と言われている。


 湯淺氏は、ここにきてネット選挙運動解禁に踏み切ったのは、日本社会にSNSが浸透したことが大きいと指摘する。「ネット選挙運動を解禁したというよりは『SNSを解禁した』という方が正確で、双方向のコミュニケーションを解禁する流れになったとみるべき」と湯淺氏。これまで、選挙期間中の状況変化に対する候補者個人の対応が、有権者側にリアルタイムで伝えられる手段がほとんどなかったのがネックとなっていた。

>>ネット選挙運動解禁によって変わることとは?


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