特集 ICカードと電子マネー
すべてが済む「この1枚で」はできるのか?
2013/6/3  2/3ページ

ICカードと電子マネー


 日々普及していくICカードと、ほぼセットで語られているのが「電子マネー」だ。いわゆる交通系の電子マネー「Suica」や、特にプラットフォームを持たない「Edy」、流通業を中心に普及している「nanaco」「WAON」などがある。これらはどういう経緯で生まれたのだろうか?


 JR東日本が、2001年11月に導入した非接触型ICカードシステムによる乗車券「Suica」。2013年4月現在、発行枚数は約4300万枚、電子マネーとして1日当たり約347万件(相互利用先も含む)の利用がある。ICカードの鉄道事業への応用についての検討は1980年代後半から進めていた。Suicaサービスを開始したことにより、運賃表を確認したり、あるいは切符を購入する、精算するなどといった手間の削減に成功している。

JR東日本 IT・Suica事業本部企画部課長 折笠晃大氏
JR東日本 IT・Suica事業本部企画部課長 折笠晃大氏

 また「かざすだけで改札を通れるという利便性の向上もさることながら、定期券や電子マネーなどの重要な情報を通信するセキュリティ・信頼性の向上にも寄与しています」(JR東日本 IT・Suica事業本部企画部課長 折笠晃大氏)。Suicaは、自動改札機のタッチ部をかざすことで通常の切符と同じように利用が出来るIC乗車券になっている。イオカードと同じプリペイド式だが、入金することで繰り返し使えるため、磁気カードや通常の切符のように使用済みの廃棄物がないのもメリットだ。プリペイドした電子マネーは、加盟店における商品の代金支払いにも利用でき、使えるお店は約20万店舗に及ぶ。


 「Edy」は楽天Edyが取り仕切っている電子マネー。元々は、2001年に複数の企業が共同出資して設立したビットワレットが発行していた電子マネーで、業界でも最古参と言われている。2009年には楽天が出資して「楽天Edy」となった。この出資により、利用範囲が楽天系列の店に広げられる一方、古参の立ち位置から、単に電子マネーとしてだけではなく、社員証や学生証などに組み込まれているものも多い。


 セブン・カードサービスが発行し、セブンイレブンをはじめとした加盟店で利用できる「nanaco」。2013年3月までに累計発行枚数約2200万枚、うちモバイルnanacoが267万台になる。月間の決済件数は7400万件(2013年3月)で、特長はカードの実稼働率と、100円1ポイントという還元率の高さ。実稼働率が高いのは「たまたま電子マネー機能がついている何らかのICカードを、別目的で作ったとわけではなく、買い物に使うためにICカードを利用している顧客が多い」(セブンアンドアイホールディングス広報センター)のが理由のようだ。これは、ほかにも流通業が基幹となっているほかの電子マネー(イオングループのWAON)にも共通する特長だ。


 「WAON」は2007年にイオンリテールから出ている電子マネーで「nanaco」と同じく系列での利用が中心となっており、200円ごとに1ポイントの付与もある。2012年3月時点で累計発行枚数2410万枚、利用可能店舗数は13万9000店になっている。


 Suica、nanaco、Edy、WAON。いずれも、忙しい現代社会において、財布を出し、開け、お金を出し、お釣りを受け取るというプロセスの省略、さらにはお金を持つ負担の軽減などをIT技術で劇的に軽減し、一方で購入履歴などのビッグデータを分析することでマーケティングにも活用できる。また4種類の電子マネーは基盤のICカードとして、ソニーが開発した「FeliCa」を採用している。


 1990年代あらゆるインフラで起こったIT革命が、ICカードとして波及した効果がまさにSuica、nanaco、Edy、WAON界隈で起こり、高い効率化をなした結果と言えるだろう。

>>多数あるICカードはどうなるのか?

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