マイナンバーに限らず、中央官庁のシステム開発、コスト管理の課題が見える中、今後重要なポジションになってくるのが内閣情報通信政策監、いわゆる「政府CIO(最高情報責任者)」だ。マイナンバー法案とともに提出された「政府CIO法案」は、仮住まい状態の政府CIOに法的な位置づけを、内閣法とIT基本法の改正によって与えるものだ。
「IT政策については、今まで政府は弱かったこともあったので、ITがわかっていて、調達や業務の改善ができる人を民間からきていただくということで法整備をしました」(内閣官房政府CIO室・黛孝次氏)。
政府CIOは、内閣官房の組織の中で内閣官房副長官に次ぐナンバー4の地位とされている。各事務次官の総合調整を行う立場となって、中央省庁間にまたがるシステム調達のガイドライン整備やセキュリティの監督に当たる。IT関連の予算調整や施策の評価も権限に含まれている。
こうした事務の実施状況を、IT戦略本部の本部長である総理大臣に直接報告を行うことができる、とも規定されている。ともすれば形骸化の可能性を持ってしまうIT戦略本部をきちんと機能させるようにしようという意図がある。
マイナンバーは地方自治体とのシステム連携も含まれているが、各自治体の業務システムは独自のものが多い。これをどのように調整していくのか、というところにもIT全般の司令塔としての活躍が期待されるところだ。
システム開発は、多分に企業に依存する面がある。システム構築や運用などは、行政よりも民間企業がノウハウを蓄積しているのは至極当然のことだ。「業界団体が自分の身分を明らかにして、正当な利益を出しつつ、コストを抑えるような提案が堂々とできることが理想。パブリックな場であれば、企業の我田引水したい意識もある程度は緩和されるのではないのでしょうか」と中村氏は言う。
まずは官庁のニーズと国民のニーズにこたえるシステムになっているか。そこから中央官庁、地方自治体などの連携を軸に、システム開発費用と運用後のランニングコストを算出して、これまでかかっていたコストとの比較を明確に出すこと。これらがマイナンバーシステムを進めるにあたっての当面の目標になるだろう。
また、今回のマイナンバー法案では、「番号の民間での利用」もあげられている。「法律施行後3年をめどに検討する」と番号法に書いてあるが、その際にどのようなシステム仕様になるのか、というのは手つかずのままだ。仮に金融機関などが利用することになれば、場合によっては再びシステムの開発が必要になり、新たなコストが発生してくる可能性もある。
政府CIOも含めたマイナンバー法案は、マイナンバー以降の行政システム開発・運用がうまくいくかどうかのメルクマールになるかもしれない。
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