特集 進む学校のICT活用と
デジタル教科書普及
現実味をおびる紙とデジタルの併用
2013/4/8  2/3ページ

教科書会社が取り組むデジタル教科書


 それでは教科書会社が出しているデジタル教科書は具体的にどんなものがあるのだろうか? 


 デジタル教科書は先生が電子黒板などに掲示して指導する「指導者用デジタル教科書」と生徒が各自の情報端末で学習する「学習者用デジタル教科書」の2種類に分けられる。


 指導者用デジタル教科書については、実証研究を経るなどして教科書会社が各社すでに発売している。一方、学習者用デジタル教科書は子供たちが学習に用いるのにどんなものが適切かを検証するため文部科学省が委託し、教科書会社が製作している段階だ。


 光村図書出版は、小・中学校向けの指導者用デジタル教科書「国語デジタル教科書」を2005年に発売している。この国語デジタル教科書は、文章に自在に線を引く編集機能がある。「ごんぎつね」などの読み物教材では、有名な俳優による朗読が聞ける。漢字の筆順が動画になって現れるという機能もついている。その他、特別支援の弱視の子どもにも対応できるよう、白黒反転機能をつけるなど利用者に配慮したつくりとなっている。

光村図書出版企画開発本部の森下耕治氏と電子黒板に写し出された同社の国語デジタル教科書
光村図書出版企画開発本部の森下耕治氏と電子黒板に写し出された同社の国語デジタル教科書

 現在、このような指導者用デジタル教科書が小学校全体で29.4%も普及しているという(2011年度の文部科学省調査)。また。中学校全体でも17.3%の普及率という状況だ。光村図書出版の企画開発本部 開発部長の森下耕治氏によると、子どもはデジタル端末に慣れているため、デジタル教科書を使うことに抵抗はないという。「今後は紙の教科書をデジタル化したものではなく、最初からデジタル化した教科書を発刊するかどうかが焦点」と森下氏は話している。


 一方、デジタル教科書の取り組み以前から、デジタル教材に本格的に取り組んできたのが東京書籍。同社は1990年代から、学校現場で本当に求められる教材は何かということを考えて教材開発に取り組んできた。2002年にはデジタルに関する著作権の許諾がとれる素材だけで、パソコンソフト「デジタル掛図」を製作・販売するなどデジタル化を進めている。


 デジタル教科書に関しても、指導者向けのデジタル教科書として小学校全学年の国語・算数・書写の教科書を発売。理科・社会についても小学校4~6年のものまでそろえるなど力を入れている。


 さらに同社は2013年3月、指導者向け・学習者向け両方に対応する「iPadで学ぶ高等学校デジタル教科書」を国語・数学など7科目同時に発売した。これはiPadに対応。英語であれば発音がわかるよう読み上げる機能が備わるなど、デジタルならでは機能はもちろん、教科書+2冊分の問題集が入っており、画面をタップするだけで即座に問題演習ができるようになっている。

東京書籍ICT事業本部制作部部長の高野勉氏とiPadに映し出された東京書籍の「iPadで学ぶ高等学校デジタル教科書」(2013年3月発売)
東京書籍ICT事業本部制作部部長の高野勉氏とiPadに映し出された東京書籍の「iPadで学ぶ高等学校デジタル教科書」(2013年3月発売)

 東京書籍ICT事業本部制作部部長の高野勉氏によると、先生と生徒にとって使いやすいものとなるようiPadの画面を電子黒板と合わせたという。「デジタルにする意味のあるものをつくりたい」と考え同教科書の製作・販売に踏み切ったとのこと。「まずは指導者に買ってもらうところからスタートしたい。そこで教育上の効果があることが認められれば、生徒にも普及するはず」とし、このデジタル教科書の販売に力を入れる構えだ。

>>デジタル教科書の導入を慎重にという意見も

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