特集 スマートフォンのバッテリーはなぜ持たないのか?
“持たない”を“持つ”にするために
2013/3/11  3/3ページ

スマホ側での改善


 スマートフォンを開発している側では、“バッテリーの持ち”の悪さについてどう考えているのだろうか? 「フィーチャーフォンの頃は800~900mAhでしたが、最新機種であるELUGA Xでは2320mAhですから、バッテリー容量は2~3倍になっています」と国内でも有力なモバイルメーカー、パナソニックモバイルコミュニケーションズ第一商品グループの堀江真道氏は話す。

パナソニックモバイルコミュニケーションズ第一商品グループ・堀江真道氏(左)、開発基盤グループ・西江圭介氏(右)
パナソニックモバイルコミュニケーションズ第一商品グループ・堀江真道氏(左)、開発基盤グループ・西江圭介氏(右)

 同じバッテリーの大きさで、容量を増やす取り組みは、現在も様々な技術開発が進められている。また折りたたみが主流だったフィーチャーフォンに比べて、ストレートの形状であるスマートフォンはバッテリーの形状を大きくしやすいことも影響してバッテリーの容量は増大しており、スマートフォンの消費電力増加に堪えられるように設計がされている。


 ほか、同社から出ている冷蔵庫やテレビ、洗濯機などの家電にも搭載されているエコナビを同社製のスマートフォンにも搭載しており、ソフトウェア側からも制御をすることで節電をしている。「センサー技術などにより、バッテリーの残量とCPUの負荷を表示したり、各種デバイスの動作をモニタリングすることで、スマートフォン自身が無駄を見つけて節電をします」(同、開発基盤グループ・西江圭介氏)。


どこでも充電で使いやすい未来


 スマートフォンメーカーでは、バッテリーの不安解消の策として、バッテリーの“持ち”をよくする以外に「充電をしやすくする」という方向でも技術開発を進めている。例えば、前出のパナソニックモバイルコミュニケーションズでは「短い時間で充電できる『急速充電』」や「置くだけで充電ができる『おくだけ充電』」などの開発に取り組み、充電を容易にする方向でバッテリーの不安解消をしている。


 「急速充電」とは文字通り、通常よりも早い時間で充電ができる方式。最新機種のELUGA Xでは2320mAhのバッテリー容量に対して「充電してください」の表示が出てから60分で1200mAh以上と、ほぼ半分まで充電できる。「長く使えるように電池容量を大きくしていくとそれだけ充電時間も長くかかってしまうので、どれだけ早く充電ができるかという技術開発もユーザーメリットにつながると考えています」(堀江氏)。


 実際には満充電まで等速で充電がされるわけではなく、80%を超えた付近からは徐々に速度が落ち100%にするためには3時間ほどかかる。しかし、使いたい時にバッテリーがないというケースは多いため「とりあえず使用に問題がない」程度まで急速に充電できるメリットは非常に大きいと言える。


 もうひとつの「おくだけ充電」は、パナソニックに限らず、NTTドコモ系統の機種から出ている無接点充電規格「Qi(チー)」に対応したサービスだ。キャップをはずしたり、コードを挿したりしなくても、まさに台に「置くだけ」で充電ができる。

「おくだけ充電」の機器で充電中のELUGA X
「おくだけ充電」の機器で充電中のELUGA X

 おくだけ充電には「無接点充電」と呼ばれる技術が使われている。これは、直接的な端子の接触がなくとも充電が可能な技術。こうした無接点充電の技術の発展に伴い、屋外に無数設置された「Wi-Fiスポット」ならぬ「無接点充電スポット」が増えて、気軽な充電が可能になる未来も考えられる。現在、カフェやカラオケルーム内などでも簡単に充電できるようにインフラ整備も進められている。さらに、スマートフォン本体だけではなく、予備のモバイル用バッテリーや、通常の充電電池などにも無接点充電への対応が進められている。


 今後、Wi-Fiスポットのように、全国の様々な場所に「おくだけ充電」の装置が設置されれば、まるでガソリンスタンドのように電池容量が減った任意のタイミング・場所でいつでも充電ができる。「おくだけ充電」は無接点充電の「Qi規格」に対応しており、「Qi規格」に準拠した機器であれば基本的に充電ができる。バッテリーの持ちがそこまで伸びなくても、いつでも充電できるのであれば、確実に使い勝手は向上するだろう。


 いかがだろうか? フィーチャーフォンと入れ替わる形で市場の主役になったスマートフォン。一方でこれまでとは異なる使い方が、「バッテリー不足」という問題を起こしているが、すでにいくつか解決の糸口が見えてきている。使い勝手がよくなれば、今後ますますスマートフォン化への加速がつくことは予想に難くない。

(井上宇紀)

この特集のキーワード

【キーワード解説】化学電池

【関連カテゴリ】

トレンド