特集 スマートフォンのバッテリーはなぜ持たないのか?
“持たない”を“持つ”にするために
2013/3/11  2/3ページ

リチウムイオン電池とは?


 ところで、スマートフォンや携帯電話に使われているバッテリーは、リチウムイオン電池と言われるもの。このリチウムイオン電池について少し解説をしよう。


 リチウムイオン電池は、正式には「リチウムイオン二次電池」と呼ばれる。火力発電などで使われるタービンのような動的な部分がなく、エネルギーを直接的に電気に変える発電装置のことを「電池」と呼ぶ。さらにその電池の中でもリチウムイオン電池は「化学電池」の「二次電池」と呼ばれる分類に当たる。


 「化学電池」とは、化学反応で起きるイオンの流れで発生する電流を電力として利用する電池のことを指す。一般的に想像される電池と言えば「化学電池」を指すが、これ以外にも「物理電池」というものが存在する。物理電池は、物理的なエネルギーをそのまま電気エネルギーに変換する方式を指す。例えば太陽光発電に用いられる「太陽電池」は、光エネルギーを直接電力に変える「物理電池」に分類される。

電池の分類
「電池」と言ってもその範囲は広い

 「化学電池」のうち、充電が不可能で、ただ電池内に蓄積された物質が化学反応を起こすだけの電池を一次電池。電気エネルギーを受けることで再度化学反応による発電が可能になる、つまり充電が可能な電池を二次電池と呼ぶ。リチウムイオン電池は、充電が可能な二次電池に当たる。


 リチウムイオン電池は、旭化成の研究所が基礎理論を確立させ、1990年代にソニーが商品化した。二次電池には、ほかにもニッケルカドミニウム(ニッカド)、ニッケル水素など種類は多くあるが、非常に小型なスマートフォンやタブレットのみならず、電気自動車のバッテリーや、はては太陽光発電などの蓄電にまで利用されているのはリチウムイオン電池が主流だ。このように充電電池としては「リチウムイオン電池」が多く使われているのは何故だろうか?


リチウムイオン電池の特長と弱点


 簡単に言えば、リチウムイオン電池が優れている点が多いからなのだが、ほかの二次電池である「ニッカド電池」や「ニッケル水素電池」より優れている点の1つに「メモリー効果がない」というものがある。メモリー効果とは、簡単にいえば電池の残量が30%の状態で充電を始めると、次は全体の70%しか通常の電圧で使えなくなってしまう、という現象のことを指す。全放電を行うことである程度はこの現象は解消するが、全放電によりバッテリーそのものの寿命が縮むこともある。


 リチウムイオン電池には、このメモリー効果が一切ない。そのため「減ってきたから少し充電しておく」というような、いわゆる継ぎ足し充電でも、100%の残量が使えるのである。ほかにも、ニッカド電池やニッケル水素電池などと比較し、電圧が高く、同じ容量(あるいは体積)あたりに保存できるエネルギーが多い(=エネルギー密度が高い)など、バッテリーの使用条件としては、それまでの二次電池と比較して画期的だったと言える。


 また充電時の特性として、蓄電量と時間の関係をグラフにすると、最初に早く容量が上がり、100%に近くなるにつれ充電速度がゆっくりになっていく。そのため、急速に充電したい場合にも「取りあえず使用できる蓄電量」まで、すぐに充電できるという特長もある。


 こうした長所の多いリチウムイオン電池だが、使用条件によって寿命が大きく変わる。リチウムイオン電池を劣化させたり、消費したり、あるいは破損などまで至る可能性があるのが「過充電」「過放電」「高温」「低温」だ。


 過充電は電池が満充電の状態から更に充電させるようにより高い電圧を加えること。過放電は、電池が終止電圧以下になった状態でさらに放電させることを指す。つまり通常ならば100%状態で充電をしたり、0%状態で放置をしたりすることで過充電・過放電の状態になるが、これについては現在スマートフォン側で制御をしているため通常の使用で特に問題なることはない。


 また0度以下の低温や、極端な高温での使用もバッテリーへの負担があり、寿命を縮めてしまう。こちらはスマートフォン側で制御ができないためユーザ側で気をつけなくてはいけない。そのため節電の側面だけではなく、より良い状態でスマートフォンのバッテリーを使うためにも、バッテリー自体の特徴に気をつけ「適切な温度下で使用する」など使用方法を守る必要がある。

>>充電をしやすくして使い勝手を改善

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