特集 スマートフォンとタブレットが変えた社会
“ビジネス”から見たスマートデバイス
2013/2/18  1/3ページ

iPhoneの流行以来、急速に普及したスマートフォン、タブレットなどの「スマートデバイス」。個人利用はもちろん、ビジネスでの利用も始まり、最新IT機器というよりは、道具の一部と化してきている。普及はそれを受け入れる社会をどう変えたのか。最も身近な個人的な利用以外での側面―ビジネス利用の増加を受けた「変化」について追ってみた。

道具として…


 先日、都内のとある家電量販店でタブレットを見ていたら「これがあれば、PCが必要なくなる」という趣旨の説明を受けた。確かに、現在店頭に並んでいるタブレットはCPUの性能や画像の鮮明さで、ノートPCなどと見劣りしない。持ち運びやすさや手軽さでは当然上回っている。では、本当にタブレットやスマートフォンは現在オフィスで使われているようなノートPCやデスクトップPCを駆逐するのだろうか? 近い将来オフィスにはタブレットばかりになるのだろうか?


 大手建設会社である大成建設株式会社では、仕事の現場へ積極的にiPhone・iPadを取り入れている。建築本部建築部課長の田辺要平氏は「クラウド上にある進行中の各プロジェクトのデータを工事事務所の外でさらに活用するために使っている」と話す。このようにiPhone・iPadの活用はクラウドの利用が前提になっているようだ。

大成建設 建築本部建築部課長 
田辺要平氏
大成建設 建築本部建築部課長  田辺要平氏

 大成建設でiPhone・iPadが導入された理由は「画面がキレイ」だったり「持ち運びがしやすい」という面だけではないようだ。「現場で使う電子デバイスとして、昔からWindows CEやPocket PCで見たい図面などを転送して使うことにチャレンジしていた」(田辺氏)こともあったそうだ。しかし、見たい図面をわざわざ手間をかけて転送し持ち出すより、印刷した紙を現場に持っていった方が便利だったため本格的な普及にはいたらなかった。


 iPhone・iPadによる本格的な利用がこれまでの電子デバイスと異なるのが、先ほどの話にもあったように、クラウド上にデータがあることのようだ。「(紙と比べれば)画面が小さいというデメリットに、クラウド上にある最新の情報をいつでも見ることができるという利便性が勝った。これも当社でクラウドを活用する業務スタイルがすでに定着しているからこそ感じられるもの」(田辺氏)。


運用のための工夫と課題


Field Pad iPhone版の画面
Field Pad iPhone版の画面
 

 以前の電子デバイスは、ITが得意な一部の人達だけが積極的に利用するものだった。しかし、今では電車の車両を見回しても多くの乗客がスマートデバイスを操作している。ならば、業務利用もスムーズにできるように思えるが、そう簡単にはいかないようだ。先ほど紹介した大成建設では、クラウド上にある膨大な各プロジェクトのデータを閲覧するだけでなく、利用者が便利だと感じられる機能を追加したアプリを用意している。一般向けiPhone・iPadのアプリ開発を手がけるフェンリル株式会社と共同でField Padというアプリを開発し、通常の業務アプリ以上の使い勝手にこだわった。「Field Padを特定の業務専用のアプリとしてではなく、インターネット上のクラウドに常時繋がっている建設現場での『電子文房具』という位置づけ」(田辺氏)として利用されている。


 大成建設はField Padにより、同社が利用している建設業向けクラウドサービス「建設サイト」(三菱商事株式会社運営)に保存された最新の情報へ高いセキュリティを維持しながらアクセス、情報の追加も可能になった。こうした操作は、スマートデバイスの携帯性やタッチパネルによる直観的な入力といった特徴を生かしたものであり、PCのそれとは大きく異なっている。そのためアプリ開発についても「iPadやiPhone向けのアプリで経験があるフェンリルさんでないと共同開発は難しかった」(田辺氏)と、PCソフトウェアの開発とはまた違った課題もあったようだ。


 さらには、PCほど処理能力の高くないスマートデバイスの性能を考慮し、入力した情報を再度出力するためにコクヨS&T株式会社による「伝票@Tovas for スマートフォン」というクラウドサービスで、サーバ側の出力処理をおこなうことで、アプリの負担を軽減している。こうした「PCとは異なるスマートデバイスとしての特徴を考慮した工夫と仕掛けが施されている点が、利用者に受け入れられる要因となった」と田辺氏は話している。

>>スマートフォン導入がもたらした変化


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