特集 機械化が照らす農業の未来
最新の技術が築く新しい農業のカタチ
2012/11/1  1/3ページ

人手不足を解消し、安全に作業を行う、作業の効率化によって収益を確保するなど、これまで機械化によって農業は様々な恩恵を受けてきた。こうした「農業の機械化」がもたらした影響について歴史を振り返りつつ、最新の技術を追跡。機械化が照らす農業の未来を追った。

人手を補うことで生産性を高めた農業機械


 農業機械と一言にまとめても様々なものがある。収穫物を一気に刈り取る「コンバイン」や車両のようなもので耕作地を耕す「耕うん機」などは読者の方もイメージしやすいのではと思われる。近年ではそれだけではなく、作物に含まれる糖度を調べる糖度計などの「センサー類」や、出荷のためにリアルタイムの市場価値を知ったり、あるいは原価計算などに使われる「IT技術」など、従来の農業機械とは一線を画すものも利用され始めている。

代表的な農業機械であるコンバイン(写真提供:生研センター)
代表的な農業機械であるコンバイン(写真提供:生研センター)

 こうして多くの農作業が「機械化」されていくが、どのような技術が使われようとも目的は「人手を補うことで、農作業を効率化し、収益につなげていく」ということにある。


 人手を補い効率化するために使う農業用の道具という意味では、紀元前から人力や動物の力、あるいは水車のような自然の力を利用したものが存在した。しかし農業「機械」といった場合は、石炭を使った蒸気機関やガソリンを使った内燃機関、あるいは電気など、産業革命以降出てきた機関を用いて、農作業を圧倒的に効率的にした機械を指す。


 実際には、蒸気機関はかなりの重量があり耕作地を踏み固めてしまうという欠陥があった。そのため普及したのは19世紀年代半ばの米国で、内燃機関を使ったコンバインが発明されたことに端を発する。米国ではこの頃、農場数が3倍、耕作面積も2倍以上に増えているが、背景には機械化による大型農場の経営が進んだ理由があるのは疑う余地もない。


 機械化による効率化は圧倒的であり、例えば鎌を使っての人手による刈り入れは、1日にせいぜい5分の1ヘクタール程度だが、コンバインを使えば25倍にもなる2.5ヘクタールを刈り取ることができる。機械化を進めた米国は現在では広大な国土と合わせて、世界有数の高い生産性を有するまでに成長している。


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独自の発展をしてきた日本の農業機械

 日本では戦後の高度経済成長により都市化が進むと、多くの労働力が第2次、第3次産業に流れていき、都市での事業展開が難しい農業は労働力の確保が難しくなっていった。そのような事情も後押しし、農業には機械化による合理化、作業負担の軽減が求められた。


 一方で、日本では農業の中心が主に水田を使った「稲作」であったことにより、畑作が中心だった米国の機械をそのまま流用することはできない。特に、水田であるがゆえに機械部分に水が入らないようにする気密性といった独自技術が求められた。


 農林水産省生産局農産部技術普及課の今野聡氏は「水田は区画が決まっていて、市場規模も大きい。そのため水田用の農業機械は、メーカーにとっても投資に対しての見返りが大きく、研究・開発も取り組みやすい製品でした」と話す。

農林水産省 生産局農産部技術普及課課長補佐
今野聡氏
農林水産省 生産局農産部技術普及課課長補佐 今野聡氏

 1965年に耕うん機、田植え機、収穫・乾燥などを引き受ける水田用の農業機械が完成。短期間の労働作業で済む稲作経営を可能にすると、驚異的なスピードで普及する。稲作で利用できる農業機械がヒットしたことを受け、技術革新も大きく進んだ。


 今野氏は「日本の水田用トラクターは気密性が高く、精巧にできている。そのため水田を中心とする東南アジア市場でも、日本産の水田用トラクターが主導権を握っている」と稲作中心の日本の食環境が、独自の水田用機器を作り上げたと説明する。

>>農業の機械の新技術の現在とは?


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