ほかにも、単純にハードウェアの面だけを見ても新しい技術が次々と投入され続けていることも市場の期待感を煽っている。先日行われた「デジタルサイネージジャパン2012」では、シャープのタッチパネルを使った大型の液晶「i3 wall(アイトリプルウォール)」は、双方向性や省エネ効果をアピール。特に映像に応じてLEDバックライトの輝度を自動制御することで、消費電力を効果的に抑えることができることを前面に打ち出していた。
またJR東日本企画は東京丸の内中央口の壁面に、284インチの高輝度大型LEDビジョンを2012年7月9日に設置したばかり。JR東日本駅の構内では最大サイズのLEDビジョンだという。日本最大のターミナル駅「東京駅」の、ホーム階段を降りる際にちょうど目の前に広告が入る絶好のポジションへの設置に、力の入れ具合がうかがえる。
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| 東京駅にある284インチの高輝度大型LEDビジョン 写真提供:JR東日本企画 |
市場からの期待が高まる中、デジタルサイネージ業界内で共通して捉えられている課題もある。それはデジタル媒体すべてに言えることだが、情報があふれかえっている現在、いまだ「広告」の域を出ていないデジタルサイネージが「街中にある」「場所と繋がっている」という特色を強く打ち出して、有効に情報を伝えられるツールまで昇華していないのだ。
前出のJR東日本企画 山本氏は「情報のきっかけをつくることに、デジタルサイネージでしかできない特色がある」と指摘する。例えば災害の際に、駅の利用者には「安否情報はここをみてください」「新宿区の詳しい情報はここ」というような最低限の情報を提示し、続きは個人個人が欲しい情報をスマートフォンや携帯電話で入手する。あくまで「街中に設置してある」というデジタルサイネージの特色を生かした「必要な情報の入口」として使うのだ。
山本氏は「これからはリアルタイムでほしい情報が、質も量も増えていく。そのため、デジタルサイネージでキーになる情報を送りつつ、個人が持つ端末によってさらに細かい情報を得ていくことになるのでは?」とも話す。スマートフォン・モバイル端末の普及により、リアルタイムの情報を流すにしても、デジタルサイネージで全部伝える必要はないということだ。

