新しい携帯ゲーム機が
築くネットワーク
セキュリティとリテラシーとこれからと
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2011/8/22  1/3ページ

かつては、ゲーム機本体とテレビ画面の上で閉じていた「テレビゲーム」。いまや「テレビゲーム」という呼称が古臭く感じるほどテレビに縛られない自由な遊び方ができるようになってきた。ゲームソフトに盛り込める容量は爆発的に増え、ハードについても携帯性は驚くほど向上した。近年では「ネットワーク」を介在することで世界中と繋がるようになり、幅広い遊び方を提供している。

 一方で、子供が多く介在するゲーム業界には、社会的な問題がつきまとうイメージがあり、業界は常にこれらの課題と格闘してきた。今ではカップル・家族連れでも訪れるゲームセンターはかつて「不良のたまり場」と言われるほどイメージ面での課題があった。最近では通信機能の強化により面白みが増えた半面、インターネットと共通した問題点も抱えるようになった。では業界はこれらの問題にどのように対処してきたのか? その歴史と対策、そしてこれからについて探ってみた。

ゲーム×ネットワークの歴史


 ゲーム機と言われるものが、ネットワークを持つようになったのは、意外に古い。1988年には、すでにファミリーコンピューター(以下ファミコン)の専用アダプターを使ったネットワークトレードシステム「ファミコントレード」というサービスがあった。1989年に発売された初代のゲームボーイ(任天堂)は、“有線”での通信機能を持っており、これが後の「ポケットモンスターシリーズ」(任天堂)の爆発的なヒットにつながったのは有名な話だ。


 一般的にイメージされる通信機能、インターネットによる通信が行われたのはやはり2000年代から流行したPCを主体とした「オンラインゲーム」が起点になるだろう。オンラインゲームは1997年にアメリカ、エレクトロニック・アーツ社が発売した「ウルティマオンライン」が先駆けと言われている。韓国で開発・大流行した「ラグナロクオンライン」(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)、「リネージュ」(NCソフト)などのMMORPG*1が、2000年代に日本へ入ってくると、爆発的に広がっていった。

家庭用ゲーム機とネットワークゲーム関連サービス動向表(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会「CESAゲーム白書(2007年版、2011年版)」よりデータを一部抜粋して掲載)
家庭用ゲーム機とネットワークゲーム関連サービス動向表(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会「CESAゲーム白書(2007年版、2011年版)」よりデータを一部抜粋して掲載)

 家庭用ゲーム機に通信機能が入り、はっきりとした流行になったのは1998年にセガが発売したドリームキャストからだろう。2001年に第5回CESAゲーム大賞を獲得した「ファンタシースターオンライン」(セガ)は、家庭用ゲーム機におけるインターネットの存在を明確に印象付けた。2000年代半ばになると、Wii(任天堂)は、インターネット機能を利用し、世界中の人間と対戦・交流ができ、ゲームのアクセントとして、花を添えている。


 同時期には、ニンテンドーDS(任天堂)とプレイステーション・ポータブル(ソニー・コンピュータエンタテインメント、以下SCE)の発売で、市場における携帯ゲーム機の存在感が濃くなってきた。2007年に発売された「モンスターハンターポータブル2nd G」(カプコン)や2009年の「ドラゴンクエストIX~星空の守り人~」(スクウェア・エニックス)は友達同士で集まり、無線通信の機能を利用し、共同して強敵と戦うプレイスタイルが人気に拍車をかけた。通信機能の変遷が、ゲームの楽しみ方にも明らかな変化をもたらしている。


ネットワークで広がる遊びと製作側としてのポリシー

 

 インターネットの広がりとともに2000年ごろからPC側でも「ネットゲーム」がブームとなった。なかでもMMORPGと呼ばれる大人数参加型のゲームは、高い熱中性を誇り、ユーザを爆発的に増やしていく。ネットワークとゲームがいち早く融合していたPC側では、どのような課題があったのだろうか?


 例えば携帯電話のゲームなどでよく言われる未成年の「過払い」などについては「基本的に料金の支払いには年齢帯により支払い上限金額の設定を施していたので、未成年が過大な料金の支払いをするなどの目立ったトラブルはありませんでした」ラグナロクオンラインなどで有名なガンホー・オンライン・エンターテイメントの執行役員 飯野平氏は話す。


 またプレイヤーが「熱中しすぎる」という点も指摘されている。これに対して、同社では低年齢層に向けてプレイ上の細かいルールや、健康に関するガイドラインをWebサイト上で公開している。


 「自分の子供がオンラインゲームに熱中しすぎるということで、わざわざ会社まで来られた親御さんもいらっしゃいましたが…」。わざわざ親が来社し、ゲームを止めさせるためにアカウントの停止を求めてきた例もあったという。「停止自体はできますが、根本的な解決になりません。ご家庭でゲームを遊ぶ上でのルールなどについてご家庭内で話し合って頂くように、まずオンラインゲームとはどのようなものか、から説明しました」(飯野氏)と親世代のオンラインゲームに対する理解不足から来るトラブルもあり、メーカーが家庭問題にまで相談に乗っていたようだ。

>>コンシューマゲーム機の課題


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