震災を経て移行する地上デジタル放送
アナログ停波「7.24」に向けた動きを追う
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2011/6/20  1/3ページ

2011年7月24日。日本の放送の歴史に大きな意味を持つ日が刻一刻と迫っている。テレビのアナログ放送がいよいよもって終了する日だ。放送業界はこの日に向けて、長い年月をかけて準備を整えてきた。しかし2011年3月11日、東日本大震災が発生する…。地上デジタル放送の難視聴地域やもともとのアナログ放送難視聴地域の問題を整理したうえで、地デジ移行への流れ、さらに被災地での影響はどういったものなのかを追った。

地デジの難視聴地域とは


 多チャンネルサービス、双方向(オンデマンド型)のサービス、EPG(電子番組表)…。アナログ放送が地上デジタル放送(地デジ)に変わることのメリットは枚挙にいとまがない。しかしもし、アナログ放送は見られていたのに地上デジタル放送が見られなくなるとしたら、どうだろうか。こうした地デジに切り替わることで生じる“難視聴地域”は確かに存在する。総務省や放送業界は「アナログ放送を視聴できた全ての世帯が地上デジタル放送も見られるようにする」ことを使命として対策に当たってきた。


 そもそも地デジに変わることによって発生する“難視聴地域”とはどういった地域なのだろうか。まずは下の図表を見てもらいたい。これは2011年4月27日に総務省が発表した資料である。これによると、総務省は2011年3月までに行った電波の実測調査の結果から、アナログ放送を今まで視聴できていたが、地上デジタル放送は見られなくなる地域を「新たな難視聴地域」(=13660地区で27.4万世帯)と定義している。

図表1、新たな難視聴地区の特定・対策策定状況 
  出典:地上デジタル放送難視地区対策計画第5版
・総務省2011年4月27日発表(クリックすると拡大します)
図表1、新たな難視聴地区の特定・対策策定状況 
出典:地上デジタル放送難視地区対策計画第5版 ・総務省2011年4月27日発表
(クリックすると拡大します)

 この地デジ移行に伴う「新たな難視聴地域」は、これまでのUHF方式やVHF方式の電波特性や変調方式がデジタル方式に変わることよって生じる。地デジに切り替わることで、今までテレビを見ることができたのに見られなくなる世帯が各県に“点在”してしまう。


 総務省の発表によると、中継局を新設するなどして27.4万世帯のうち、82508世帯(30.1%)がすでに対策を完了している。さらにアナログ放送停波の2011年7月24日までに52056世帯(19.0%)が対策を完了する予定。それ以外の139352世帯(50.8%)には7月24日以降のアナログ放送停波後も衛星放送を用いて地デジが見られない地域をカバーする(衛星セーフティネット)といった暫定的な難視聴対策を行う。他、残り248世帯に対しては何らかの対策を検討している段階だ。


アナログ放送からの難視聴地域


 しかし、これはアナログ放送を見ることができるが、地上デジタル放送を見ることができない世帯に限定した場合のこと。この他にアナログ放送を見ることが「もともと困難だった」地域の存在がある。


 この地域は山間部や離島、または都市部のビル陰などで電波障害を引き起こしている場所だ。これについてはアナログ放送のときから、辺地共聴(施設)*1受信障害対策共聴(施設)*2などといった「共聴施設」を建てることで対応してきた。こうした地域の地デジ移行の措置としては、辺地共聴が必要な世帯のうち推計73万世帯(97.7%)の対応がこれまで完了しており、残りの推計1.7万世帯(2.3%)の対応を進めている段階。また、受信障害対策共聴が必要な地域はおよそ796万世帯(99.3%)の対応が完了しており、こちらも計画中・検討中がおよそ5.1万世帯(0.7%)となっている。(地デジ視聴に必要な受信環境整備の状況(5月末発表)*3より)


 さらに、こういった対策すらとることができない「絶対難視」と呼ばれる地域が存在し、およそ3000世帯ある。この「絶対難視」とは高層建造物や人為的原因ではなく、自然の地形によりアナログ放送の受信が困難な地域のことだ。これまでこの地域に住む世帯に向けてNHKが、衛星第2テレビ放送を通じて放送するなど、対応に当たってきた。


 そして、この2011年4月27日の発表で考慮しなければならないのは、東日本大震災の影響で、岩手、宮城、福島の3県は含まれていないということである。

>>地デジ移行の取り組みとは?


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