Editor’s note 取材や日常生活で記者が感じたことをお伝えします

2014/12/15

 

要介護者に寄り添うネットワークを

 今回の特集では、介護とICTについて迫っています。2014年10月1日~3日に行われた国際介護機器展に足を運ぶと、安川電機の移乗アシスト装置や、東京理科大学のマッスルスーツなど、特集で以前触れた様々な介護ロボットが展示されていました。実際、会場にも多くの人が訪れていて、この分野の注目の高さを感じることができました。

 また記事では、「ICTを活用したネットワークインフラ」に触れています。医療・介護・予防など生活支援を一体的に提供することを目的とした「地域包括ケアシステム」は、まさにブロードバンド時代だからこそ、なしうるシステムです。異なるベンダー間でも情報共有ができ、医師・看護師・ホームヘルパーなど違う職種でも使えるようにするため、厚生労働省の主導で調査事業が進められています。

 すでに、在宅医療・介護の分野では柏や石巻など、先進的な地域もあります。柏には東京大学の柏キャンパスがあり、東京大学高齢社会総合研究機構が中心となって研究を進めています。また、石巻でも祐ホームクリニックが中心になって「在宅医療・介護情報連携推進協議会」を設立するなど、大きな動きを見せています。

 しかし、こうした取り組みはまさに利用者視点をどれほど反映できるかが大切です。今回伺った慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科特任准教授の内山映子氏のお話にもあったように、要介護者に直に接している人の情報をどれだけ吸い上げられるかが重要になってきます。内山氏も話しているように「介護現場の人のITスキル」はまちまち。そうしたなかで普及させていかなければならないというわけです。

 また、どんなによいロボットやネットワークがあっても、使わなければ、宝の持ちぐされというもの。震災のときに瓦礫の下を探すことができるロボットがあっても、実際は採用されなかったという話も聞きます。要介護者・介護従事者の目線で「使うことができる」ロボット・ネットワークを――。ICTを使うことで、より要介護者が生活しやすい環境になることを願ってやみません。

(山下雄太郎)