Editor’s note 取材や日常生活で記者が感じたことをお伝えします

2014/1/20

迫る脅威を見据えた人材育成

 2014年がスタートし、新たな気持ちで仕事に臨んでいた矢先、新年挨拶のメールを開いてウイルスに感染してしまい…というのはもはや珍しいケースではないかもしれません。我々の周りにはサイバー攻撃の脅威が常日頃から存在しています。

 今回の特集は2013年11月に東京電機大学で行われたシンポジウムの内容を中心に、産官学が取り組む情報セキュリティ人材の育成について取り上げました。

 特集でも触れましたが標的型攻撃の他にも、2013年後半に農林水産省や財務省が標的になった「水飲み場型攻撃」と呼ばれる、サイトの巡回路を狙った攻撃が増加するなど、サイバーリスクは依然高まるばかりです。高度化・多様化するサイバー攻撃に対応するための人材育成が焦眉の急となっています。

 そこで情報セキュリティに関する学位を設けようという動きが大学にみられています。今回紹介した東京電機大学の「TGU-MCSTRP」もその1つ。東京電機大学は早くから「セキュリティマネジメント」「ネットワークセキュリティ」など情報セキュリティに関する講義を行い、情報セキュリティに関する教育を積極的に推進してきた大学です。

 私が学生だった10年前には、情報セキュリティに特化した学位というものは聞いたことがありませんでした。それは、まだ日本にサイバー攻撃の脅威がそこまで迫っていたわけではなかったからだと思います。しかし、今は違います。国同士のサイバー攻撃が日常茶飯事として行われ、日ごろから標的型攻撃の脅威が企業にさし迫っている…。こうした状況のなかで情報セキュリティに特化した学位が必要とされるのはごく自然な流れだと思います。

 今回取材していて一番、魅力的に感じたのは、佐々木良一教授が話していた「セキュリティ生涯教育育成機関」の立ち上げです。企業で働く人が大学に戻って勉強する仕組みを築けば、社会に出てからでも情報セキュリティに関する最新の知識を学ぶことができます。どんなにサイバー攻撃が高度化・多様化しても、大学で学んで知識をアップデートしていけば、被害にあうリスクは確実に少なくなるはずです。

 もちろん、大学だけが力を入れるのではなく、政府や産業界もしっかりと協力し、人材育成に力を入れていくことが重要です。高度化するサイバー攻撃に対応するため、産官学が手を携えて取り組めば、これほど安心できるものはない…そう強く感じることができた今回の取材でした。

(山下雄太郎)