Editor’s note 取材や日常生活で記者が感じたことをお伝えします

2013/1/28
「魅力の多い電子書籍端末」

「魅力の多い電子書籍端末」


 国内の様々な端末メーカーにお話しを伺った今回の特集、いかがでしたでしょうか? 年末・年始の忙しい時期に、貴重なお話を聞くことができました。

 私自身、2012年秋に芥川賞作家・三田誠広先生の寄稿『電子書籍の近未来』を担当させていただいたので、電子書籍に対して考える機会が多くありました。だからこそ、今回の端末メーカーへの取材は楽しみであり、実際に足を運んで多くのことを学ぶことができたと感じています。

 電子書籍端末の最大の特長といえば、本がすべてデータなので、省スペースで、持ち運びに便利な点につきます。旅行に行く時に、手軽に何十冊もの本が持ち運びできます。また、本屋さんに行かなくても、24時間好きな時にその場ですぐに本が買うことができます。そして、実際に持つとわかるのですが、驚くほど軽くて薄い。これなら電車の中でも無理なく読むことできます。

 端末メーカーにとってもメリットがあります。例えば人気漫画のフルカラー版出版が、低リスクで実現します。実際にBookLiveでは『ジョジョの奇妙な冒険』などのフルカラー版をリリースしています。通常、紙でフルカラーの本を出版すると印刷費がかかり、出版社の負担が増えてしまいます。しかし電子書籍の場合、こういったケースでも印刷コストが一切かからないことが大きな魅力となっています。

 もちろん、端末がそろってきているのに、蔵書数が少ないのでは普及が停滞してしまいます。コンテンツが集まらなければ意味がないわけです。その点、2012年に入って新刊の電子書籍化が目立つようになり、読みたいものをいちいち探さなくても、話題の本がWeb上の電子書籍ストアに置いてある状況になりました。「2012年の直木賞・芥川賞ノミネート作品の90%以上が、電子書籍化されるようになりました」とBookLiveの河西広太郎氏も話しています。そういった意味で、2012年は大きな年になったと言えるのではないでしょうか。

 お正月、実家に帰省の際、電車で隣に座った人が電子書籍端末を片手に読書をしていました。その時、取材したジャーナリスト・西田宗千佳氏の「電子書籍そのものを読むという行為が2013年の末にはおそらく当たり前になる」という言葉が思い浮かびました。電子書籍端末で本を読むという行為はみなさんの日常生活の何気ない1シーンになるかもしれません。しかしそれは社会が大きく変化したことがわかる1シーンなのです。

(山下雄太郎)