寄稿
世界の“奇”ケータイ探訪
携帯電話研究家 山根康宏
2013/3/28  1/2ページ

【第3回】老若男女、国民全てが大画面スマホに飛びつく韓国

山根康宏氏 山根康宏氏
携帯電話研究家。1964年、北海道釧路市生まれ。1998年から香港に居住し、アジア及び中国を中心に海外の携帯電話事情を研究している。年間の海外渡航日数は100日以上。著書に『iPhoneが日本に上陸する日』(技術評論社)など。携帯電話コレクターでもあり所有する端末台数は1000台を超える。

世界中に広まるスマートフォン。肌身離さず持ち歩くスマートフォンには、その国の人々の行動やお国柄などといった文化的な背景すら投影される。世界中を飛び回り携帯電話・スマートフォンを見てきた携帯電話研究家の山根康宏氏が、各地で見た特徴的なスマートフォンと、そこから見える国の背景について語ります。

大画面が当たり前の事情

 韓国の首都、ソウル。地下鉄に乗ってみると車内では多くの人がスマートフォンを使っており、その姿は日本と全く変わらないように見える。だが乗客のスマートフォンを見てみると、ほとんどの人が利用しているのが動画やモバイルTVの視聴だ。しかも手に持っている端末のサイズも大きい。そして動画を見ている合間にソーシャルサービスの画面に切り替え友人や家族と連絡を図る、そんな光景が当たり前になっている。

ソウルの地下鉄では誰もが大画面スマートフォンを使っている
ソウルの地下鉄では誰もが大画面スマートフォンを使っている

 21世紀を迎えた2001年からの約10年間、iモードを中心とした日本の携帯インターネット環境は間違いなく世界一のものになった。携帯電話さえあれば日常生活に不自由は無く、果ては大学の卒論すら書けてしまう、そこまで日本の携帯事情は進化し生活の必需品となっていった。他国でも日本を追いかけようと携帯電話の進化は進められたが、通信事業者を中心とした強固な垂直統合型ビジネスに追従できるところは1つもなかったのである。


 同じころ、韓国でも次々と新しく便利な携帯電話向けサービスが生まれてはいたものの、どちらかといえばサムスンやLGが携帯電話の機能向上合戦を繰り広げ、ハード機能優先でサービスがあとから追いかけてくる、という状況だった。この2大メーカーは世界シェアをあっという間に高め、老舗の大手メーカーのポジションを次々と抜き去っていったものの、韓国国内の携帯電話事情を見る限りはその進化のレベルは日本には及ばなかった。


 その一方、韓国は国策としてブロードバンドの普及を強力に推し進め、世界一のブロードバンド大国となった。つまり韓国ではインターネット利用といえばPCを使うことを意味し、携帯電話は出先でその補佐として使う程度で十分という環境だったのだ。例えば会社や学校帰りには各都市の繁華街に必ずあるPCルーム「PCバン」に立ちより、そこで動画を見たりオンラインゲームをしたり仕事の続きを行う、といったことが当たり前だったのである。日本は携帯電話1台で済ませられる環境が整っていったが、韓国では逆に街中の至るところに手軽に利用できるPCバンが増えていったのである。


 その結果、PCのポータルサイトが提供する各種サービスの普及も広がり、次第にPCだけではなく携帯電話どちらからでもそれらを利用することが一般的となっていった。つまり携帯電話でしか利用できないサービスは発達せず、PCと携帯電話両方からシームレスに利用できるサービス環境が整って行ったのである。


 そして国内全域が高速通信網で接続され、PC利用の普及が広がった結果、韓国ではインターネットで利用できるオンライン上のコンテンツやサービスも、急速に拡充されていった。CDの売上げは合法だけではなく違法なものも含め、ネットの音楽配信サービスに押され伸び悩む結果になった。プロのゲーマーまで生まれるオンラインゲームはやりすぎてネット中毒にはまり、果て死者が出てしまうほど。またTV局はビデオ・オン・デマンドの配信を相次いで始め、PCさえあればいつでもどこでも自由に番組を見ることができる。そのためHDレコーダーやレンタルCDショップといった、日本では当たり前の商品やサービスは韓国には存在しない。

>>大画面スマホが空前のヒット! その訳は…


RPAツール・AIHH

【関連カテゴリ】

トレンド