寄稿
世界の“奇”ケータイ探訪
携帯電話研究家 山根康宏
2013/2/28  1/2ページ

【第2回】「1000万円の超高級ケータイ」が売れるドバイ

山根康宏氏 山根康宏氏
携帯電話研究家。1964年、北海道釧路市生まれ。1998年から香港に居住し、アジア及び中国を中心に海外の携帯電話事情を研究している。年間の海外渡航日数は100日以上。著書に『iPhoneが日本に上陸する日』(技術評論社)など。携帯電話コレクターでもあり所有する端末台数は1000台を超える。

世界中に広まるスマートフォン。肌身離さず持ち歩くスマートフォンには、その国の人々の行動やお国柄などといった文化的な背景すら投影される。世界中を飛び回り携帯電話・スマートフォンを見てきた携帯電話研究家の山根康宏氏が、各地で見た特徴的なスマートフォンと、そこから見える国の背景について語ります。

富裕層だからこそ選ぶ「本物」

 オイルマネーが潤沢な中東の産油国は安定した経済成長を続けている。その中でも7つの首長国から成るアラブ首長国連邦は、石油を生み出すアブダビと貿易や金融センターであるドバイの関係が連邦国家経済をうまく回しており、毎年高いGDP成長率を維持している。国家財政は税金に頼る必要がなく、国民が国からの手厚い保護を受けていることもあり政情が安定しているのもアラブ首長国連邦の特徴だ。


 ドバイは特に観光にも力を入れており、世界で唯一の7つ星ホテル「バージュ・アラブ」や世界一高い高層ビル「ブルジュ・ハリーファ」、そして人工衛星からも見える高級リゾート人口島「ザ・パーム」など、スケールの大きさでも他の国を圧倒している。市の中心部には世界中のブランド品を揃える大規模なショッピングモールも複数あるほどだ。ドバイには世界中からお金持ちの観光客も集まってくるのである。


 さてここで「海外旅行で買物」と聞くと何を思い浮かべるだろうか? やはりブランド品のバッグや洋服や靴、そして時計などがメジャーなところだろうか。だがドバイにはそれ以外にも売れている高級品がある。それが超高級携帯電話だ。機能性が求められる携帯電話の世界はスマートフォンブームに沸いているが、高級携帯電話は機能ではなく品質と素材にこだわった「本物」を追求したラグジュアリーな製品なのである。


 高級車に乗り一流の洋服を着てスイス製の腕時計をはめ、そして上品なレストランで食事をする。ところがポケットから取り出す携帯電話がプラスチック製の大量生産品でもいいのだろうか? その疑問から生まれたのが高級携帯電話だ。だがそれはただのブランド携帯電話ではない。ボディーは金属素材、宝石が散りばめられたモデルもある。価格は100万円台ですら安いほうで、数千万円のモデルまでもが存在している。

ステンレスボディーに本皮、サファイアグラスパネルなどを使った高級携帯VERTU。写真は70万円のモデル
ステンレスボディーに本皮、サファイアグラスパネルなどを使った高級携帯VERTU。写真は70万円のモデル

 この高級携帯電話の代名詞とも言えるのがVERTU(ヴァーチュ)である。VERTUはもともとNokiaの子会社として発足した。一時は世界の携帯電話シェアの4割をも握っていたNokiaは、金属ボディーを採用しスタイリッシュなデザインに仕上げた高級ラインの製品も発売していた。8000番台の型番がつけられたNokiaの高級端末は、富裕層を中心に大きな人気を得ていたのだ。


 だが「高級」といったところでもそれは携帯電話市場内だけの話。コストには限界がある上に、量販店でも売られるなど販路は様々だ。開発にかけられるリソースも限られている。そこで携帯電話という枠から抜け出し、ロレックスのような絶対的な存在感を持った、高級かつ信頼性のある製品を目指したものとしてスタートしたのがVERTUなのである。

>>超高級携帯! その性能は!?


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