寄稿
世界の“奇”ケータイ探訪
携帯電話研究家 山根康宏
2013/1/31  2/2ページ

【第1回】「オリジナルを超えた6インチスマホ」
中国の「山寨機」

商魂たくましい「山寨機」の生き残り

 この山寨機は手っ取り早く売るために、大手メーカーのメジャー製品の外見をコピーした製品も多い。とはいえOSは自社開発していないため、iPhoneのソックリであっても中身は只の携帯電話に過ぎない。また有名ブランドやキャラクターを勝手に使った著作権無視の製品も多かった。その一方ではミニカーのように車の形をしたものや、盗撮カメラやはては髭剃りを内蔵する製品まで、そのバリエーションは想像を絶するほどまで広がっていたのだ。


 だが日本を含む世界のスマートフォンブームは中国にも及び、破竹の勢いで伸びていった山寨機に大きなダメージを与え始めている。2012年になると正規メーカーの低価格スマートフォンが次々と登場。安くて品質が悪く、所詮は単機能な携帯電話である山寨機の勢いはあっという間にそがれてしまった。

大量生産された山寨機。正規メーカー品よりも低価格で機種数も膨大である
大量生産された山寨機。正規メーカー品よりも低価格で機種数も膨大である

 しかしここで黙って倒れている山寨機メーカーではなかった。今度はスマートフォンを世に送り出し反撃に出ているのだ。その立役者は山寨機の生みの親とも言える台湾MTK社で、今度はスマートフォンの基本プラットフォームの提供を始めている。つまりスマートフォンも基礎開発不要で誰もが製品を製造できる体制が提供されているのだ。


 2012年後半からはスペックアップしたプラットフォームが登場したことで、山寨スマートフォンもまともに使えるレベルの製品が次々と登場している。例えば2013年頭に流行となっているのは超大型画面のスマートフォンだ。大画面といえばSamsungのGALAXY Noteなど5インチ台の製品が有名だが、今回紹介するメーカー不詳のN9970という製品などを含め、大画面山寨スマートフォンはそれよりも大型、なんと6インチの画面を搭載しているのである。


 しかもGALAXY Noteと同様に、裏蓋が一体化したフリップカバーも付属するなど外見はスタイリッシュだ。一方で画面下のソフトキーや背面のカメラ周りなどはHTCの上位モデルにデザインを似せている。つまり有名メーカーの製品をそのままコピーするのではなく、各社のいいところを“つまみ食い”しつつ、オリジナリティーを加えた改良版とも言える製品に仕上げてあるのだ。加えて本体の作りなどもしっかりしており、安易な只のコピーとは呼べない製品になっている。


 携帯電話が単体で自由に流通する中国市場。関連メーカーが集結し、基礎開発不要となれば新製品の開発速度も大手メーカーを凌ぐほど速く、モノづくり大国と言われる日本のメーカーですら追従するのは難しいだろう。開発の基本部分は外から採用し自らは製造に徹することで、大手メーカーには無いプラスアルファの機能やデザインを持った山寨機、山寨スマートフォンはこれからも次々と出てくるだろう。

>>第2回はドバイの「1000万円」携帯

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