寄稿
国際標準に挑む日本発電子認証
伊賀洋一 ISOTC247国内審議委員会委員長
2012/6/4  1/2ページ

【第2回】電子認証の必要性と国際標準化の動き

伊賀洋一氏 伊賀洋一氏
ISOTC247国内審議委員会、SEMITRC委員会委員長。1952 年生まれ。NECを経て、ルネサスエレクトロニクス品質保証統括部 企業統合 シニアエキスパート。SEMIトレ-サビリティ委員会委員長、JEITA半導体部会信頼性小委員会サブコミッティ認定WG主査を歴任。現在、日本情報経済社会推進協会(財)JIPDEC主席研究員を兼ねる。

日本の半導体業界が推し進める製品IDを用いた国際標準化。しかしヨーロッパや米国・オバマ政権からも国際標準化の流れが――。深刻化する部品模造品の現状に迫りつつ、日本はどのような対策をしていく必要があるのか、 ISOTC247国内審議委員会委員長の伊賀洋一氏に解説していただいた。第2回は電子認証の必要性と国際標準化の動きについてです。

第三者機関のIDで真贋判定

 前回は我々が半導体の電子認証の国際標準化を進めてきたことと、それを取り巻く環境の変化について述べたが、もう少し詳しく述べていきたい。


 SEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)は半導体のトレーサビリティやセキュリティ技術を長年にわたって標準化してきた。最新の仕様である「T20シリーズ」は、第三者認証サービスの仕組みを利用している。まず、政府が認めた第三者認証機関が固有のIDを発行する。半導体メーカーは、このIDを製品に付与するとともに、IDと製品情報をヒモ付けしたデータベースを第三者機関に渡す。これにより、半導体製品の購入者はIDを第三者機関に問い合わせることで、製品の真贋を確認できる。(図1参照)

図1 暗号化のための認証システム 米国の認証サービス例。SEMI資料をもとに作成(クリックすると拡大します)
図1 暗号化のための認証システム 米国の認証サービス例。SEMI資料をもとに作成(クリックすると拡大します)

 流通の各段階では部品商社などがIDを読み取り、第三者機関に真正品か問い合わせる。この作業はインターネットを使って行うため、模倣品の可能性があるときは即座に警告されるといった仕組みだ。


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模倣品業者を除外する仕組み

 半導体業界としては模倣品対策としてこういった仕組みをどうしてもつくらなければならなかった。それはこれまでの半導体用IDは主にロット単位やウエハー単位で管理され、模倣品業者がIDをコピーして使ってもわからなかったためだ。そこでチップごとにIDを変え、流通の流れの中で真贋判定ができる手法が考え出された。こうした手法は既に、米国の半導体メーカーで模倣品対策として試験的に運用され、評価されている。これが模倣品業者を除外する仕組みにつながっている。


 これまでは模倣品の発見まで、途方もなく時間がかかっていた。例えば、機器メーカーが不良品を部品メーカーに返品したときに、部品メーカー側が調べると、模倣品であることが判明したとする。しかし、その発見までには既に多くの時間が費やされてしまっている。そのため結果として、部品の販売から時間がたっていればいるほど、販売ルートをたどることが難しくなっていた。


 しかし、第三者認証機関によるID認証を使えば、その場で模倣品かどうかわかるため、模倣品業者を特定しやすくなる。部品メーカーが購入する第三者認証機関からの固有のIDが製品に付与されて出荷されるためだ。

>>米国やヨーロッパの国際標準化の動きとは?


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