寄稿
デジタルメディアの世界潮流を読み解く
ジョン・キム 慶応大学大学院准教授
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2011/7/11  2/2ページ

【第2回】Google参入で本格化するスマートテレビ競争

 スマートテレビは今まで供給側が一方的に提供していたコンテンツを受動的に利用していたテレビから進化し、利用者がテレビやインターネット機能を戦隊的に能動的に利用できるようにしたという点で新しい。日本を始めとする先進諸国で見られるような超高速ブロードバンドインフラの整備・普及によって、テレビを通じたストリーミング形式での映像コンテンツの消費が可能になった点も見逃せない。You Tubeは言うまでもないが、米国ではHuluといった動画ストリーミングサービスが地上波放送局を巻き込みながら大きな人気を得ていることを考慮すれば、スマートテレビの明るい将来も容易に想像できる。

図2、主な動画サイトの訪問推移・日本の場合
※注:2009年9月にYahoo!動画とGyaOが統合されて
GyaO!となった(出典:ニールセン・ネットレイティングス調べ)
図2、主な動画サイトの訪問推移・日本の場合 ※注:2009年9月にYahoo!動画とGyaOが統合されてGyaO!となった (出典:ニールセン・ネットレイティングス調べ)

Google、アップルの攻勢

 さて、こうしたスマートテレビの可能性を決定的に裏付けたのは、Googleの「スマートテレビ市場への参入」であった。Googleは2010年5月に「Google TV Project」を発表した。同年9月にはソニーのデジタルテレビBraviaに、インテルの高性能CPUとLogitech(ロジテック社・PCの周辺機器などを販売)のセットトップボックス(STB)を統合し、特にアンドロイドOS及びGoogle Chromeを搭載したGoogle TVを発売することになる。“Web meets TV, TV meets Web”というスローガンの下、Google TVをテレビとネットを繋げた一種の「エンターテインメント・ハブ(中心)」として、またウェブ上に存在する多様なマルチメディアコンテンツ、特に動画像コンテンツを利用できるテレビとしてGoogle TVを位置づけた。


 一方、アップルも2010年9月1日に新しいApple TVを発売した。ご周知の通り、アップルも実は2007年に初代Apple TVを発売したものの、それほど大きな成功は得られなかった過去を持つ。今回発売した新しいApple TVは初代のApple TVとはいくつかの大きな違いがある。

新しいApple TVとは

 まず、何と言っても端末の値段が初期モデルの299ドル(約2万4000円)から99ドル(約8000円)へと大幅に安くなった。ちなみにテレビ受像器の買い換えを中心とするGoogle TV構想とは違って、アップルはテレビ受像器自体を変えるのではなく、小さく安価なSTB形式を採用している。


 次に、サービスの提供方法にも変化が見られる。新しいApple TVはダウンロード&プレーが可能だったハードディスクをなくし、ストリーミング方式で映像コンテンツを提供するようになった。つまり、コンテンツを購買し、永久に所有するモデルから、レンタルするモデルにシフトしたのである。また、大容量のハードディスクではなく、クラウド基盤のレンタル方式にシフトしたのである。これはオンライン上の不法複製に苦しまれてきた著作権者にとっては歓迎すべきニュースである。これもあって、アップルはABC、ABC Family、Fox、Disney Channel、BBC Americaなどの地上波チャンネルと提携を結ぶことが可能であった。


 第3に、アップルは既に保有しているiPhone、iPod、iPad、Macといった端末ラインアップにApple TVが加えることで、端末間でのシームレスな連係プレーを可能にした。具体的には、Apple TVに搭載されているAirPlay機能を通じて既存のモバイルアップル製品とApple TV間でのコンテンツ共有がシームレスに行われるようになったのである。例えば、iPadで映画を見ながらAirPlayボタンを押し、Apple TVを選択すると今まで見ていた映像をそのままApple TVを通じて鑑賞することができるようになった。


 このようにGoogleやアップルの本格参入によって、期待が高まるスマートテレビであるが解決すべき課題が山積しているのも事実である。次回は、Google TV vs. Apple TVを比較分析すると共に、スマートテレビ普及における課題と解決方案について考えることにする。

>>スマートテレビ普及の課題とは? 第3回を読む


注釈

*セットトップボックス
テレビに接続して様々なサービスを受けることを可能にする機器。例えばケーブルテレビに接続して番組を受信するなど様々な種類がある。

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